マンガの神様 蘇之一行(電撃文庫)
マンガの神様によって巻き起こる、トラブルいっぱいハッピー青春ライフ&ラブコメディ。
主人公及びヒロインが漫画家と、いわゆるクリエイターを主題にした作品です。
他の類似作品とは違い、業界話よりも創作論語りを重視するという方向性が結構珍しい。
勿論、タイトル通りの「マンガの神が舞い降りたようなお約束トラブルやラブコメ」も満載であり
そこに、主人公の熱血気質ゆえの熱い展開も加わっているため、エンターテイメント性は高め。
ラストは念願であった人気雑誌での連載を勝ち取り、二人の漫画家の物語はこれからも続いていくエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインと将来的に結ばれることがほぼ事実上確定し、終了。
主人公は期待の新人だが、連載を持てないのが悩みな高校生漫画家の少年。
自信家でプライドが高く、負けず嫌いな性格をしているが、それに見合うだけの画力の才能。
そして、それ以上に努力を惜しまない向上心とストイックさを持っている。
喧嘩や暴力は大嫌いだが、自分の作品が貶されたり、ネガティブな発言をされた場合はその限りではない。
なお、頭の回転は速いし、顔もそこそこ良く、天才漫画家という肩書きがあるにも関わらず
漫画の話になると熱が入りすぎてしまうという悪癖から、女子にはモテない。
ヒロインは天才漫画家、転校生な初恋の少女、男装のライバル漫画家、アイドルな漫画家。
一番のお気に入りはベタなトラブルを巻き起こすマンガの神様に憑かれている少女漫画家、杜若楪葉。
清楚なお嬢様風の外見の美少女で、頭の上にちょこんと乗ったベレー帽がチャームポイント。
いつも無表情で無愛想、淡々とした口調、他人を突っぱねるようなふてぶてしい態度を取っているが
それは相手をトラブルに巻き込むまいという優しさからきているだけで、根は人との繋がりを求めている。
実は大人気漫画家「杜若王子郎」の三代目継承者で、幼少期から漫画描きにどっぷりと浸かっており
漫画を描くためならばあらゆる労力も財力も惜しまない。また、漫画そのものも大好き。
評価はC。
漫画&ラノベ大好きな身としては、創作論語りまくりのこの作品は非常に興味深いものがありました。
まあ、論説が上から目線すぎなところが少し鼻につきましたが、これは作風と割り切って気にしないのが吉。
内容的には、軽い超常現象がある以外は青春と情熱が前面に出ているので読み味爽やかだった印象。
主人公もヒロインも、主要キャラは皆漫画に一生懸命で好感が持てましたしね。
本筋はヒロインたちとの交流を基盤に置いた主人公の漫画家としての成長物語が一貫して描かれており
最終巻も、その流れ通りにして期待通りのクライマックスと幕下ろしになっていたと思います。
ラブコメの決着も、ちゃんとマンガの神様という要素が活かされたオチになっていましたし。