ミライニッキ 辰川光彦(電撃文庫)
三人の少女と付き合い、その先で破滅を迎える。という予言を覆すために奮闘する少年の物語。
何らかの事情で複数のヒロインと仲良くならなければならない、という設定は数多いですが
この作品の場合はその反対、ハーレムを作ったらアウト、というのが中々恐ろしく緊張感がありますね。
一見回避は簡単そうに見えますが、それだけに、自らのお人よしさゆえに意に沿わずヒロインたちと
仲良くなるイベントをどんどんこなしていってしまう主人公の姿に涙を禁じえません。
ラブコメ面は、ハーレム達成=死という前提があるので、安全策な単独エンドに落ち着くのか
それとも、ハーレムを作った上で運命を越えていくのか。最後の決断にも注目したいところ。
主人公は未来日記の記述から逃れようと日々奮戦する高校二年生の少年。
口調は粗雑でぶっきらぼう、授業態度や成績もあまりよくないなど、どちらかといえば不真面目学生。
しかし、自身の損になるとわかっていても困っている人を見捨てられず
関わった相手には親身で心配性であったりと、人格的にはかなりの善人でお人よしで
恋愛方面に関しても、経験こそないものの、誠実な考え方が出来るタイプ。
ヒロインはしっかり者な双子の妹、クールビューティーな委員長、万能な生徒会長、飼育委員なお嬢様。
一番のお気に入りは学級委員長を務めるクールな才女、三田村恭子。
いつも透明な空気を身に纏い、無表情かつ無感情、淡々と平坦な口調で喋り、全てを静かにこなすため
感情が見えにくく、掴みどころのない、ミステリアスな印象を周囲に与えている。
だが、溺愛している妹が関わると別人のように感情を露になったりと、実は感情豊かな内面の持ち主。
また、勉強、運動に加えて料理の腕前も上々、スタイルも良し。と、何気に女の子としてのスペックが高い。
現時点(一巻)においての評価はC。
ラブコメ主体の作品の割には奇抜な設定が目を引きますが、その分、粗も多いのが残念なところ。
特に、人助けの結果、運命通りになってしまうのは仕方ないにしても、家出してイベント回避するなり
ヒロインにわざと嫌われるような行動をとるなり、色々簡単に試せそうな行動の選択肢はあるのに
それを考え付きすらしない主人公に納得がいかないというか、悪い意味でのご都合主義を感じます。
ラブコメイベントに関しては、運命通りという切欠はともかく経過は結構ニヤニヤして読めるんですけどね。
死に一歩一歩近づいていることになる主人公の心情には同情しますが。
運命打破の鍵になりそうなのは、双子の妹の存在のようですが、彼女の存在意味とは…