契ってください魔王陛下。   あさのハジメ(講談社ラノベ文庫)



魔王陛下×妹の強制学園ドタバタラブコメ。
異世界召喚、強くてニューゲーム、退魔バトルなどといった要素こそあるものの、それらは全て余禄。
あくまでメインは愉快なハーレムラブコメであり、他の要素はその栄養分でしかありません。
また、主要キャラが全員コメディ成分高めということもあり、全体的なノリは軽く、とにかく和気藹々としています。
ラストはひなたを苛む悪夢は主人公達の力で晴れ、そして彼女は最愛の兄を取り戻して―――エンド。
ラブコメ的には決着つかずで終了。まあ、魔王は一夫多妻制OKなため将来的なハーレムは確定と思われ。

主人公は夜界という異世界で魔王を決める戦いに勝利したところを、現代日本に召喚されてしまった少年。
元は日本出身の人間であり、御三家と呼ばれる祓魔師一族の落ちこぼれ長男だった。
格好付け、お人よし、そしてバカみたいに前向きと、基本的に陽性の性格をしている。
普段は魔王としての威厳を出そうと尊大な態度をとっているものの、感情的になりやすく
また、ツッコミ気質&うっかり者であることから、キャラが崩れることが多い。
なお、魔王らしく威勢はいいのだが恋愛方面に関しては真面目で奥手、そしてヘタレ。

ヒロインはエクソシストな妹、婚約者な吸血鬼、尊大ロリな先代魔王、マッドな純情エルフ、ぼくっ娘キメラ。
一番のお気に入りは妹属性を持つ半悪魔な天才エクソシスト、地獄崎ひなた。
無表情無愛想無口と、一見するとクールキャラだが、その中身はいたってマイペースでフリーダム。
幼い頃から祓魔師としての英才教育を受けてきたため一般常識が欠けており、物事の影響を受けやすい。
それゆえに、大胆な言動をとることもしばしばだが、根は純情で恥ずかしがり屋でロマンチストな性格。
主人公を召喚した理由は、ラノベ好きが長じてラノベ的ラブコメ生活を望んだから。

評価はC。
属性の付与、そしてその属性に従った言動をとってラブコメをすることで効率よく魔力が補給される。
この「ご都合主義イベントの発生を、公的な設定そのものにしてしまう」という発想がある意味凄い。
良くも悪くも頭の悪い、ラブコメ至上主義といってよい設定が特徴的な作品でした。
ヒロインは皆可愛らしく嫌味がなかったですし、主人公も微妙にヘタレなところこそあったものの
前向きで陽性のキャラをしており、言動に不快感を覚えなかったのはグッド。
ただ、殺る気満々な敵性存在を巻に跨らせて出したのは正直作品のカラー的に失敗だった気がしますが。
本筋は主人公が人間に戻ることで物語としては一区切りついた感じでしたが、未登場のままの六人目のヒロイン。
そして未だ健在の宿敵と、色々投げっぱなしのままでの打ち切り終了。残念無念…