セントレイン戦記   森田季節(オーバーラップ文庫)



動乱の時代、若き領主と王女が立ち上がる王道戦記ファンタジー。
国土統一が最終目的ではあるものの、妖魔の存在などもあり、ただの国家再統一物語では終わらない模様。
文章のほうは森田季節さん独特のほのぼのシュールなやり取りやラブコメが健在ですが
この作品の場合はそれが少々違和感というか、戦記もの特有の緊迫感&空気を損なっている印象。
ラブコメ面は立場&状況的に正妻はメインヒロインのクランベルでほぼ確定っぽいものの
主人公の体質の都合上、今後も敵ヒロインを口説いていくと思われるのでハーレム展開は期待できそう。

主人公はセントレイン王国第九州太守にして「北境の麒麟児」と呼ばれる青年。
普段は昼行灯(仕事自体はキッチリこなす)で民に対しても温厚な態度をとっている。
また、豪勢な料理が性に合わないため、庶民と大差ないものを食べていたりと、王族らしさはあまりない。
しかし、太守としてはかなり聡明で、軍事と民政の両面で優秀な能力を有している。
身体に流れる妖魔の血の影響から、力を振るうと理性が消え、欲望が強くなり女に見境がなくなってしまう
という問題を抱えており、そのため、年頃の異性と接するのが苦手。

ヒロインはお転婆な従妹姫、異大陸出身の耳長侍女、信心深い聖女、妖魔の王な妹。
あと、変わり者な天才技術者や残りの敵対勢力の長がヒロイン昇格候補?
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
戦記ラノベとして見ると、残念ながら他作品よりも一段落ちる感じでしょうか。
戦争描写が雑というか、主要キャラの 個人戦闘力に頼りすぎで、超人英雄物語に傾いてる感が強いです。
実際、一騎打ちや単騎無双の描写がやたらと多いですし。
あと、特に女性優位設定があるわけでもないのに、敵勢力トップが全員女ってのは流石に不自然すぎる気が。
いやまあ、個人的にはハーレムエンドへの意気込みを感じるので願ったり叶ったりではあるのですが…