白奈さん、おいしくいただいちゃいます   似鳥航一(電撃文庫)



料理で事件を解決する「料理事件部」に所属する主人公と部長の白奈。
二人が数々の事件に立ち向かう、クッキング探偵コメディ。
最近流行の特殊部活動ものですが、料理がメインというのは珍しくて目を惹かれました。
あくまで最終的には美味しい料理を食べて大団円! というコンセプトが貫かれているのも好印象。
一昔前の料理漫画っぽいノリが面白いです。
結構無理のある部分も多いものの、勢いと熱さで読めてしまう感じ。
時折語られる料理&心理学うんちくも「へー」と感心するものばかりで勉強になります。
ノリ重視な作品なだけに、ちょっとテンポを崩してると感じることもありますが…

主人公は高校生にしてプロ級の料理の腕前を持つ料理事件部の部員。
部長である白奈からは何故かボスと呼ばれていて、他者からはハードボイルドキャラと認識されることが多い。
年齢の割に落ち着いているが、意外に(特に料理関係)熱くなりやすいところも。
人並の羞恥心と常識(料理関係以外)を備えているため、奇天烈な行動の多い料理事件部は肌に合わない模様。
一応異性には興味があるようで、ヒロインたちに目を奪われることもあるものの、基本的に鈍感。
どうやら過去に料理関係で何らかの事件があり、そのせいで表舞台に立てない様子。
料理に関しては凄腕で、料理関係の心理学にも長けている

ヒロインは変人白衣部長、おっとり幼馴染、とんがり同級生。
サブ的な扱いではあるものの、事件に関わった女の子たちも引き続き好意的な立ち位置で登場する模様。
なので事件のたびに主人公の周囲には女の子が増えることになるわけで…
一番のお気に入りはツンデレ風味な同級生こと血倉知里。
肉や魚の食物アレルギー持ちで、基本的に菜食であり、それが原因で孤立していた。
本人としては皆の輪に入りたかったため、問題が解決してからは明るく素直な人気者となっている。
また、その際に奔走してくれた主人公に好意を抱いている様子。
ヒロインスペック的には頭の回転が速く、気が利き、家庭的で尽くし系と実に嫁適正が高い。

現時点(二巻)においての評価はB。
主人公が実に良い意味で個性的で格好いいため、ヒロイン達が彼に好意を抱いても素直に受け入れられる。
そのためスラスラと気持ちよく読めるのが素晴らしい。
料理というあまり焦点を当てられないジャンルを持ってきたのも新鮮さがあっていい感じです。
また、ヒロインをメイン級三人に絞りながらも、サブレギュラーとして他の娘も出番があり、使い捨てでないのが良し。
ただ、タイトルにもなってる白奈の出番が少なく、メインヒロインはどう見ても幼馴染の未百合なのはどうなんだろう?