異世界無双の戦術竜騎士   山田有(富士見ファンタジア文庫)



戦術竜騎士の学園で美少女たちを育成する、転生無双異世界ファンタジーストーリー。
異世界転生、最強能力覚醒、学内ランクバトル、落ちこぼれ小隊、パワードスーツ系の装備。
と、流行のテンプレ要素を盛りまくりました感が凄い作品です。
大筋の流れは他の学園バトル作品と大差ない感じですが、異世界転生という逆境スタートにも関わらず
主人公の実力&精神面に未熟なところがほとんどないというのは珍しい設定ですね。
ラストは全ての敵を撃破し、平和な日々が訪れて―――エンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのルティシアの一人勝ちがほぼ確定ながら、他ヒロインも諦めずで終了。

主人公は異世界に転生して、最強の異能に覚醒してしまった記憶喪失の少年。
クールで理知的、突如異世界で過ごすことになったにもかかわらずパニックを起こさず
危険な荒事にもまったく怯まないなど、常人離れした空気と落ち着きを纏っている。
また、観察、分析、判断力などにも優れており、頭の回転も速い。

ヒロインは頑張り屋な王女、天然な小隊長、マイペースな妹(仮)、男装のチームメイト、転生仲間なクラスメイト。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

評価はE。
設定や伏線をきちんと消化するための巻数が足りなかった、としかいいようがないですね。
本筋の決着や主要キャラの問題解決は一応できてはいたものの、かなり性急で強引な詰め込み展開でしたし。
それに加えてルビ付き造語の多さから、読むのに目が疲れ、内容把握にひたすら苦労しました。
キャラに関しても、主人公は結局記憶や力を完全に取り戻せないまま、ルティシアはひたすら面倒臭く
邪魔としか感じず、他の主要キャラは存在感を確立できずに終了という消化不良感。
各キャラの思考も何かとチグハグで首をひねる場面が多く、バランスとテンポの悪さが目立ちすぎだった印象。
肝心の一国を相手取ったラストバトルの無双描写にしても、雑魚&中ボス戦まではともかく
ラスボス前の戦いであっさり負けそうになったりと、タイトル詐欺な萎え具合だったという…
ハッキリ言って、読み終わってみれば「ここがよかった」という点がない作品でした。