東京ストレイ・ウィザーズ 中谷栄太(GA文庫)
伝説が甦り、東京が震撼するアウトサイド・マジカルアクションストーリー。
舞台がアウトロー集団が跋扈する東京ということで、若者中心の世界観になっています。
戦闘描写は魔法がメインなだけあって、派手さは抜群ですし、アクションも悪くはないのですが
魔法関係の造語が多いせいか、具体的に何をやっているのかわかりにくいのが難点でしょうか。
展開自体はスピーディーなので、テンポよく読めるんですけどね。
ラストは一連の事件に決着をつけ、しかし主人公の身に宿る呪いを解くための戦いはこれからだエンド。
主人公はかつて東京に伝説的な魔法使い集団(クラン)を作り上げた少年。
超一流の実力を持つ魔法使いだったのだが、一年前に受けた呪いにより、力に大きな制限を受けている。
普段は落ち着きがあり、飄々とした性格。お人よしというか、世話焼きで判官贔屓なところあり。
仲間を思う心が強いが、それゆえに周りの言うことを聞かず、率先して一人で無茶をしてしまうタイプ。
ヒロインは相棒な魔法生物、監視役な保安官、捻くれ者な情報屋、人懐っこい天才児。
一番のお気に入りは元仲間にして現情報屋なクールビューティー、橘宮子。
肩まで僅かに足りない長さの艶やかな髪と、切れ長の瞳がどことなく怜悧な印象を与える少女。
実際、外見に違わずクールな態度を常としており、言動も冷ややかで容赦がない。
クランから足を洗い、過去を隠して魔法学園の生徒をこなしているが、主人公を探すために
情報屋のようなことをしたり、彼の下宿先に住み込んで帰りを待っていたりと、健気な一面も。
ただ、その想いを表に出すことはほとんどない。レベルの高いツンデレである。
評価はD。
突出したものこそないものの、全体的なバランスが上手く取れているタイプの作品だったかと。
ヒロインたちやサブキャラを含めた主人公チームの距離感もとても良い感じでしたし。
ただ、主人公の抱える制約が少々厳しすぎなせいで、作中戦闘パートの大半が苦戦&劣勢と
フラストレーションを感じる描写のほうが多く、爽快感をイマイチ感じにくかった印象。
本筋もラスボス撃破後に真ラスボス登場、一戦もせずに取り逃がす。主人公の呪いも解けないまま。
と、肝心な部分がまったく解決しないままの打ち切り終了と消化不良感がかなり酷かったですし。
ラブコメ面も、好意持ちヒロインを複数出しておきながら、関係の進展や恋愛イベントはほぼ皆無という…
仲間という関係性を描くことが優先だったとはいえ、やはり積み重ねが足りなかったの一言に尽きますね。