魔王子グレイの勇者生活 広岡威吹(GA文庫)
魔力を失った魔王子グレイと吸血鬼のサラが織りなす勇者学校生活物語。
大枠としては、ファンタジー系の主人公最強バトル&ハーレムラブコメな学園ものですね。
少し珍しい点としては、主人公が序盤の段階で天才として賞賛を受けるようになることでしょうか。
まあ、周囲から見下される、理不尽を押し付けられる、などの無駄なストレスを感じずにすむのはいいことですが。
ラストは暴走した魔王の野望を打ち砕き、世界に平和が訪れるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのサラの正妻ポジは揺るがずながら、他ヒロインズも諦めない宣言で終了。
魔界は一夫多妻制なので、将来的にはハーレムエンドになる可能性大?
主人公は封印された魔力を取り戻すべく、勇者学校に入学した魔王の子。
押しに弱く、卑屈なところがあるが、基本的には素直で穏やかな気性の持ち主。
悪意や理不尽には相応の対応をとったり、自分が正しいと思ったことは己の言動で示したりと
結構アグレッシブで負けん気の強いところがある。
男女関係には純情だが、少々調子の乗りやすい上、素直さが過ぎて平然とナンパまがいの台詞を吐くことも。
ヒロインはお目付け役な吸血鬼、高慢&上品な優等生姉妹、勇者候補な純朴巨乳娘。
サブに心優しい王女とわがままなドラゴン娘。
一番のお気に入りは姉であるエリザベートに心酔している優等生、フレデリカ・フロイデンブルグ。
垂れ目気味で優しそうな整った顔立ちをしており、また、上品で可憐な雰囲気を兼ね備えている。
高慢な姉とは違い、名家の娘としての誇り高さこそあれど、引くことを知る、理知的で誠実な人柄で
気に入らない相手であっても、きちんと礼や賞賛の言葉をかけられる根っからの良い子。
評価はC。
力量を周囲に示し、陰謀を打ち破ることで名声を得ていくという流れは爽快感があって良かったです。
反面、台詞回しがワザとらしかったり、妙に説明口調だったりと文章力にやや難があったのがマイナス点でしたね。
キャラに関しては、主人公は芯がイチマイチ定まらず、ヒロインたちは第一印象が悪かった感がありましたが
一巻の事件を糧にしてきちんと成長し、二巻以降はそれぞれの魅力を発揮していたかと。
本筋は最終巻で人類が総力を結集して魔族と戦い、主人公が勇者として仲間達と共に父である魔王を打倒。
と大筋だけ見れば王道の極みではあったものの、やはり三巻完結という巻数の少なさゆえに
キャラとストーリーの両面で積み重ねが足りず、盛り上がりに欠け、悪い意味での軽さが抜けきらなかった印象。
ご都合主義が多かったとはいえ、話そのものは綺麗に締められていたので読後感は悪くなかったのですが…