神楽剣舞のエアリアル 千羽十訊(GA文庫)
様々な人やモノが落ちてくる異世界を舞台にした、魔術と剣戟が加速するバトルファンタジー。
大枠としては、異世界召喚+クエスト系の話ですね。主要キャラは皆学園生なのに学園要素は薄め。
戦闘パートは説明&心情描写が多めで、刹那の攻防の緊迫感が上手く描かれており
また、主人公のバトルジャンキーな気性が雰囲気にマッチしていて、読み応えがあります。
ラストは多くの犠牲を出しながらも、世界を害さんとする宿敵を倒し、ハッピーエンド。
ラブコメ的にはヒロイン二人(+他にも婚約者が一人いる)と結婚式を挙げて終了。
主人公は現代の日本から異世界へと召喚された退魔士の少年。
普段は飄々とデリカシーのない態度をとっているが、根は真面目な性格であるため
物事を難しく考え込んでしまったり、周囲に振り回され苦労を必要以上に背負ってしまうことが多い。
また、バトルジャンキー気質ゆえに、戦いに熱が入ると他人が驚くような無茶を無意識にすることも。
異性慣れしていないことから、対象を異性として認識すると挙動不審になってしまう
ヒロインは尊大なチビっ娘相棒、勝気な貴族令嬢、妹分的長寿幼女。
一番のお気に入りは主人公が異世界に転移してからずっと家族のように一緒に生きてきた少女、風夕。
口調や態度はかなり尊大で、物言いもキツめだがツインテール、小柄、童顔、幼児体型。
という外見コンボから、客観的には背伸びした子供にしか見えない。
が、主人公を意識するがゆえに、スタイルを気にして落ち込んだりと、年頃の女の子らしい一面も。
ちなみに、料理の腕前は魔術を使えば問題なしだが、普通にやると壊滅的な模様。
評価はB。
ストーリーラインや毎巻のバトル描写に関しては熱さと光るものがあったと思うのですが
主人公の元の世界での環境、転移の経緯、仲間との出会いと交流、異世界での生活描写、実力初披露。
といった物語全体における起承転結の「起」の描写がないまま、物語の要点ばかりが優先されていたため
突然二巻からスタートしたような唐突さがあり、読み手が置いてきぼりになっている感が強いのが難点でした。
「承転結」は文句なかっただけに、もっとキャラに感情移入できるよう、じっくり段階を踏んで欲しかったですね。
本筋は人間関係、バトル、伏線といったやるべきことを全て消化した、実に見事な大団円だったと思います。
総力戦なラストバトルの盛り上がりは申し分なかったですし、締めが結婚式だったのも綺麗でよかったかと。