きゅーきゅーキュート!   (MF文庫J)



魔界の公爵の末娘と能力者を目指す少年の出会いから始まる異種間恋愛ファンタジーストーリー。
メインは魅力的なヒロンたちとのハーレムラブコメなのですが、バトルものとしての色も濃い感じ。
多数の魅力的なキャラが入り乱れていて、良くも悪くも賑やかな作品です。
ラストはキュートを取り巻く問題を皆で解決してハッピーエンド。
エピローグでは、主要キャラたちの五年後の姿が描かれており、綺麗なラストになっていました。
ただし、ラブコメとしてみるとなんら進展も決着もないまま終了と肩透かし感が強かったですね。
主人公とヒロインの背景を考えると、一応ハーレムエンドの可能性はあるわけですが…

主人公は立派な能力者を目指す少年。
作中では超努力家ということになっているのに、何故か学力も身体能力もそれほど高くはない。
別に才能が壊滅的というわけでもないのに、不思議設定である。
お人よし、優柔不断、度を越した鈍感、感情的になりやすい、向こう見ずで厄介ごとに首を突っ込みたがる。
と、正に典型的なラブコメラノベ主人公的性格の持ち主。

ヒロインは落ち零れな公爵末娘、その姉である魔族と獣人のハーフ少女。
クールビューティーな同級生、その妹であるおませな小学生、内気な死霊使い、魔界の第二王女。
一番のお気に入りは「蛇髪女の眼(メドゥサ・アイ)」の二つ名を持る同級生、亜威黒媛。
ロングストレートの黒髪に、気の強そうな凛々しい顔立ちの美少女であり、スタイルも抜群。
クールで正義感の強い性格に男性的な口調。そして頼りがいのある雰囲気から学院では憧れの対象になっている。
ただ、妹である百香に対しては過保護であったり、虫が大の苦手だったりと、意外と欠点も多い。

評価はC。
サブヒロインやサブキャラたちの魅力に関しては文句なし。ただ、それが欠点にもなっていた感が。
いかんせん主人公とメインヒロインのキュートが他キャラの魅力の中に埋没してしまっているんですよね。
一巻からほとんど(特に恋愛面)成長しておらず、魅力をあまり感じない主人公とメインヒロイン。
ラブコメを前面に出している作品なのに、これは致命的だったと思います。
まあ、この二人に目を向けなければ十分完成度は高い作品なのですが、それじゃ本末転倒だしなぁ。
ハッキリ言えば、力を入れるところを間違ってるせいで色々散漫になっている感の強い作品でした。
本編より、シリアス要素抜きでドタバタラブコメだけやってたSSシリーズのほうが明らかに面白かったですし。
アフターストーリーとかで色々補完してくれないかなぁ。