逃奏劇リアクターズ 塀流通留(MF文庫J)
次代の最強陰陽師が紡ぐ、異能バトル×ラブコメのハイブリッド現代ファンタジー。
ラブとコメディが溢れる非日常を求め、殺伐異能バトル三昧の日常から逃亡。
という出だしだったのでラブコメ重視なのかなと思いきや、異能バトル成分も結構濃かったりします。
むしろ、戦闘描写の力の入り具合からすれば、こっちのほうがメインのように見える気が
一応ラブコメもシッカリ描かれていますし、割合としては半々くらいではあるのですが。
主人公は陰陽八家序列第一位、阿頼耶識家が嫡男にして次代の最強異能者な少年。
若年ながら、現役陰陽師の中でもトップクラスに属する実力を持つ天才なのだが
感性が一般的な思春期の男の子すぎたがために、幸せな青春時代を求めて家出をしてしまう。
性格的には単純で浮き沈みの激しく、色恋への興味と積極性は人一倍。
しかし、その欲望が前面に出すぎている態度が災いして、女の子ウケはあまりよくない模様。
悪知恵が働くタイプだが、運の悪さと間の抜けたところが合わさって、結果的に失敗に終わることが多い。
ヒロインは式神な幼馴染、オカルト好きなクラスメイト、親友な男装娘。
一番のお気に入りは恩人を探すために不思議を追い求める級友、恋澄八雲。
やや強引なところこそあるものの、いつも元気で明朗快活な性格。
見た目だけなら文句なくハイレベル(胸にいたっては推定Gカップ)なのだが
常にオカルトへの執着心をオープンにした言動ばかりなため、スペックの割に残念美少女の印象が強い。
現時点(三巻)においての評価はC。
ありきたりにならないよう捻ろうとして、でも結局捻れていない感じの作品といったところ。
異能バトルものとして決して悪い出来ではないと思うのですが、最初にラブコメやるぞ! と強調したがゆえに
あって当たり前であるはずの戦闘描写に異物的存在感が出てしまっているというか…
ラブコメパートの質は勿論、青春を求めて奮闘する主人公のキャラや、ヒロインたちの活き活きとした
可愛さは良い感じなだけに、そっちにだけ集中してくれと思ってしまう出来になっているのが残念ですね。
二巻にて、上層部の裏切りや陰謀といった不安要素が出てきて本筋の先行きも怪しくなってきましたし。