神暦のアポクリファ   青山あまら(MF文庫J)



正統と異端がぶつかり合う神格のマージナル・ファンタジー。
大枠としては学園バトルファンタジー系になりますが、国の覇権が賭かっているだけに
シリアス分は濃い目で、謀略や裏切りといった後ろ暗い要素も結構あります。
とはいえ、最終的には一件落着になるような構成になっているので読み味はあくまで軽め。
ラストはひとまずの勝利を手に入れ、俺たちの戦いはこれからだエンド。
ラブコメ的には、主人公を巡る恋の争いはこれからだ風味で終了。

主人公は学術国家アチェロの筆頭使徒として統一戦争に挑む少年。
出身国と父の教えの影響から、自分よりも他の誰かを守ることが優先。
誠実で嘘をつくことが嫌い、堅物&即断即決思考、などと武人としての性質が強い。
が、女の子に対する免疫がまるでなかったり、極度の鈍感であったり
感情的になりやすかったり、慣れない事態に弱かったりと、年齢相応の未熟な部分も。

ヒロインは勝気な外典少女、ツンデレお嬢様、僕っ娘男装後輩。
腹黒のほほん生徒会長、クールな機械生物秘書、生き別れの妹はサブのまま終了。
一番のお気に入りは主人公をライバル視する優等生、シャンファ・バンディエーラ。
良い意味で誇り高い性格の優等生で、良家のお嬢様。ちなみにお約束通りですわ口調。
上記の通り、主人公をライバル視しており、事あるごとに突っかかってくるものの
同時に強い好意を抱いており、実際の言動はかなりデレに傾いていたりする。

評価はD。
設定はやや変化球ではあるものの、全体的な雰囲気は他のファンタジー作品と大差ない感じですね。
筋道がしっかりしているので、詰まらず読めるのは評価点だったですが…
最後の最後までとにかく地味さが抜け切らなかったのが痛い。
主人公の能力に派手さがなく、展開にもメリハリがきいておらず、伏線の張り方もイマイチ。
それらが悪い方向で相まって、ひたすら華がなく淡々と話が進んでいただけ、な印象を受けました。
折角のラブコメ&ラキスケイベントも、どこか中途半端な感じでしたし。