せんせい、まちがってます。 岸杯也(MF文庫J)
ふとした切欠から、女子校の先生になってしまった十六歳の少年の学園教師生活ラブコメ。
大体第一印象通りといいますか、良く言えば期待通り、悪く言えば捻りも新鮮味もないタイプの話ですね。
しかし、主人公が学園唯一の若い男ということでモテモテ状態なのはいいのですが…
あくまで若い男だから人気がある、というのが切ない。勿論、メイン級のヒロインたちは別枠ではありますが。
ラストは秘密がバレて学校を去った主人公。八年後、帰ってきた彼は教育実習生になっていたエンド。
ラブコメ的にはヒロイン二人から告白をされるも、ケジメをつける形で両方を振って終了。
主人公は年齢を偽って女子校の講師をやることになってしまった十六歳の少年。
流されやすく、押しに弱い性格が原因となって、年齢を偽り先生をする羽目に。
一応は気遣いが出来るほうであり、人のために一生懸命になれる熱さも持っているのだが
やはりまだ若年ということもあってか、やや無神経で迂闊なところがあるため、空回りすることも多い。
特にこれといった夢も目標ないが、先生として頑張ろうという気持ちは本物。
ただ、年齢的に思春期真っ盛りであることも確かなので、欲情を表に出さないように苦労していたりも。
ヒロインはクールな優等生、人望の厚いクラス委員長、お祭り大好きなお嬢様。
あと、昇格できなかった枠に働き者なちゃっかり娘なども。
一番のお気に入りは記憶力抜群にして勉学&スポーツ優秀なクール優等生、神月未優。
中学生らしからぬクールで大人びた態度を崩さず、その上無表情で口調も冷淡でそっけなく
悪気こそないものの、結論ありきの合理的言動ばかりをとるため、周囲からはとっつきにくいと思われていた。
だが、その素顔は心優しく気遣いに溢れており、単に賢さを発揮する方向性がズレているだけの不器用少女。
ちなみに、周囲には秘密にしているが、実はかわいいものがすき。
評価はC。
コメディとシリアスのバランスがよく、変に重い設定もないので、学園青春物語として軽く読める作品でした。
ただ、十六歳であることを隠して先生をやる、という設定の強引さを読者に納得させるだけの勢いを
出すことできなかったのが一番の問題にして、打ち切りの原因だったんじゃないかな、と思います。
特に要となる主人公は、キャラは悪くはない止まりで設定に対抗できるだけの個性の強さが足らなかった。
本筋にしても、物語の締めくくり方自体はとても綺麗だったのですが、三巻という少ない巻数での積み重ねでは
やはり情感が足らなかった印象。もっと巻数をかけていれば感動もひとしおだっただろうになぁ。
本当に打ち切られて残念な作品でした。夏休み、秋と冬の季節イベント、卒業式とネタはまだまだありましたし
そもそも、掘り下げ回もらえなかったヒロインもいましたしね。