女騎士さん、ジャスコ行こうよ   伊藤ヒロ(MF文庫J)



ちょっと特殊な事情を持つ田舎町で繰り広げられる、女騎士系田舎日常ドタバタコメディ。
舞台となる田舎が、異世界人の来訪が珍しくないというトンデモな場所になっているため
宇宙人、オーク、吸血鬼、海底人等々、登場人物が実にカオスな感じになっています。
女騎士がいるということもあり、一応戦闘描写もありますが、ほぼおまけ程度の扱いなので見所はなし。
特徴はロングパスすぎる伏線の存在でしょうか。くだらないものばかりですが、妙に印象に残ります。
ラブコメ面は主人公が鈍感キャラということもあり、今のところあまり動きはない感じ?

主人公はど田舎である平家町に住む普通の高校生。
三年前まで東京に住んでいたため、どちらかという都会寄りの考え方の持ち主。
主体性がなく、流されやすい性格をしており、それでいて見て見ぬ振りが出来ないお人よしでもある。
基本的にツッコミポジションだが、平家町に染まっているがゆえのボケを発することも。
エロゲやエロDVDを隠し持つ程度には色事に興味があるも、恋愛事にはかなり鈍感。

ヒロインは忠義の女騎士、ツンデレ幼馴染、マドンナな触手さん。
一番のお気に入りは祖国で「白百合の騎士」と呼ばれていた女騎士、クラウゼラ・ルー・コトヴィック。
ややキツめながらも整った顔立ちのキリリとした美人で、人格も誇り高く、忠誠心に厚く、責任感も強い。
と正に騎士の鑑のような人物なのだが、良く言えば根が純朴で素直、悪く言えばチョロイ性格であるため
周囲の人間にいいように使われることが多い。あと、主に見せられたエロゲーの影響で「クッ殺せ」が口癖。
なお、女騎士で軽度エロス人間だが、実は子供程度の性知識しか持っていなかったりする。

現時点(四巻)においての評価はC。
タイトル詐欺ではないけれど、厳密に言えばタイトル詐欺な作品。
登場人物たちの混沌さを存分に利用したキレのあるコメディ会話が賑やかで楽しい。
テンプレ女騎士クラウゼラや世俗に塗れたポー姫の言動を筆頭に、良い意味で頭の悪い文章に仕上がっています。
ただ、それだけに後半で発生する一部のシリアスパートの異物感が強いのが残念なところ。
まあ、毎度ちゃんとオチがつく形で締められているので好みの問題で片付くレベルではあるのですが。
本筋はいよいよ田舎にジャスコができそうですが、そうなると完結は間近?