僕の妹は漢字が読める かじいたかし(HJ文庫)
漢字が消え、萌えエロ系の小説が正統派文学として幅を利かせている近未来を舞台にしたドタバタコメディ。
世界観の前提が狂っているため、当然主要登場人物の大半の感性もおかしくなっているのが特徴。
まず前提が受け入れられるかがこの作品を読む上での鍵だと思われる。
個人的には、登場人物(特に主人公)の頭のアレさに少々苦しんだものの、結構楽しんで読めました。
タイムトラベル要素も含まれているものの、基本シリアス要素は皆無なので深く考えずに読むのが吉。
主人公は小説家(ただし世界観通り萌えエロ系)を目指す高校生。
ただし、世界観と照らし合わせても今のところ小説家としての才能はない模様、というか感覚が独特すぎる様子。
恐ろしいまでのポジティブ思考で、何でもかんでも自分の都合のよいように解釈できる頭を持っている。
学力的にも人間的にも非常に頭が悪く、常に自分の感性で生きていて、ある意味人生幸せっぽい。
自分の嗜好や他人の大事なものについては一切譲るという思考はなく、否定されたりすると激しく怒りを示す。
総合的には悪い人間ではないけれど、人として致命的に大切なものが足りないという印象。
ちなみに、本の中の妹にはOKだけど、現実の妹はNOと一応分別はあるらしい。
ヒロインはツンデレ義妹と初恋の女性そっくりな女の子。
一応下の妹もカウントしていいかもしれないけれども、ヒロインとなるとこの二人だけかと思われ。
一番のお気に入りはツンデレな義妹、イモセ・クロハ
最近よく見かけるテンプレな暴力型ツンデレではなく、正統派(?)なツンデレ。
言動の節々に見えるお兄ちゃん好きオーラが実にグッド。
性格的には常識人(この物語の世界では異端)だが、変人な義理の兄に惚れてるあたりこの娘も十分変。
あと、黒ストは重要な要素。
現時点(一巻)においての評価はD。
色んな意味でぶっとんだ作品なので、まず評価以前にこの世界観を受け入れられるかが問題かと。
あとは主人公の頭の悪さに耐えられるかどうか。
設定そのものは斬新というか突飛というか、その発想なかった的に楽しめるんですけどね。