愛だ恋だを取り締まる俺に、春がやってきたので無秩序 竹井10日(角川スニーカー文庫)
恋愛が法によって取り締まられている世界を舞台にした、学園ラブコメストーリー。
自由恋愛禁止という無茶苦茶な世界観と、その中で真剣に生きるキャラたちのギャップが実に楽しい。
正に発想の勝利。価値観が一つ変わっているだけなのに、新味の加わった学園ラブコメに仕上がっています。
同時に、キナ臭い要素も見え隠れしており、ただの破天荒ラブコメでは終わらない感じの作品ですね。
ラストは世界を侵略せんとする機械軍団を撃破し、恋愛禁止から人々は解放されたのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの恋姫と結ばれて終了。
主人公は厚生労働省・大臣官房・恋愛対策課に所属する恋愛取締官の少年。
物腰穏やかで真面目だが、押しに弱く、流されやすいなど、頼まれると断れない性格。
また、悩みや苦しみといった感情を内に抱え込んでしまう内向的なタイプでもある。
そして、時には法律違反の人間を見逃したりと、良く言えば優しく、悪く言えば甘い一面も。
ヒロインはゆるふわクラスメイト、勝気な恋愛警察官、ナルシストな潜入捜査員。
サブヒロインにお嬢様な生徒会長、才媛なブラコン妹、幼女警官、警察犬少女。
一番のお気に入りは恋愛警察のキレ者エース、砂田橋天音。
勝気で強気で攻撃的、そしてプライドが高く、常に上から目線な態度、と唯我独尊型の性格。
また、仕事においては正義の心の赴くがまま好き放題に捜査をするため、仲間内では煙たがられている。
それゆえに一匹狼として行動することが多いのだが、本当はかなりの寂しがりや。
性格のせいもあってか、好意を持った人間に対する態度はツンデレ。
評価はD。
竹井10日さんお得意の怒涛のゆるふわボケツッコミがテンポよく文章を読ませてくれました。
キャラに関しては、主人公が根暗系ではあるものの、ヒロインたちがその分グイグイと彼を引っ張って
物語を動かしていくので、上手いことそれぞれの役割のバランスが取れていた印象。
まあ、メインヒロインの恋姫は天然が過ぎてウザイ感じにしかなっていなかったのは難点でしたが…
本筋は最終巻が超展開の連発だったため、正直呆然とするほかなかったというのが率直な感想。
一応主だった伏線は回収され、騒動にも決着はついていましたが、とにかく風呂敷を畳むことだけに注力した
あからさまな駆け足展開で、キャラの掘り下げや関係進展描写はおろそかなまま終わってしまいましたし。
というか、恋愛を主題にしておきながら、肝心のラブコメのオチがやっつけすぎなのはどうなのか。