CtG 玩具堂(角川スニーカー文庫)
ゲームでできた娘が現実世界にも現れちゃったよ、な子育て&バトルアクションストーリー。
大枠ではVRMMOものということになりますが、子育てがメインなだけに、現実世界の描写もかなり多めです。
ただ、ゲーム内の死が場合によってはリアルの危険に繋がるというデスゲームめいた要素があったり
幼女が殺伐としたバトルを平気で繰り広げたりと、バイオレンスさが見える一面も。
ゲーム独特のバグを活かした主人公の戦い方は結構特徴的かつ格好良くていいんですけどね。
ラストは当面の問題を解決し、しかし冒険と子育てな日常は続いていくよエンド。
ラブコメ的には三角関係が本格化したところで終了。
主人公は大人気VRMMO「CtG」の開発者を母に持つ少年。
CtGではバグを利用したプレイスタイルから「スカラベのクランプ」という二つ名をつけられており
冷静&果断勇決を演じているが、リアルでは気取り屋で周囲に壁を作っており、容姿、体力、学力も普通。
対人態度も、落ち着いているようでそそっかしく、ヘタレ気味で察しが悪い。
しかし、根は誠実で面倒見がよく。イザという時は母譲りの思い切りの良さを発揮できるタイプでもある。
ヒロインはネット弁慶な母親少女、世話焼き幼馴染。
一番のお気に入りはCtGで主人公と結婚した結果、一児の母になってしまった少女、釘宮美遥。
CtGでは明るく強気だが、リアルでは内気で人見知りな上、異性が苦手と典型的なネット弁慶。
が、女子ばかりの生活に慣れているせいか、同居相手の主人公を警戒している割に無防備なことが多い。
素は優しくて真面目であり、面倒見のよい性格。ただ、父親に裏切られた過去から、恋愛に対し
少し夢見がちというか重い考え方を持っている。ちなみに、現実でもゲームでも胸が大きい。
評価はC。
キャラの心情変化などの積み重ねが丁寧なため、展開に説得力があり、要点を理解しやすい作品でした。
まあ、ホームドラマ(現実)⇒生死をかけたバトル(ゲーム)と、展開の触れ幅が大きすぎではありましたが。
新人類の創造という大仰な設定が根幹にあるせいか、哲学めいたやり取りもそれなりにありましたし…
とはいえ、ゲーム&日常パートがきちんと相互補完がされていたので、構成的な破綻はなかったんですけどね。
本筋は根本の問題がまるで解決せず、謎も幾つか残ったままと消化不良感の強い形での完結でしたが
主要キャラの成長や進展はしっかり描かれていたので「主人公の物語」としては上手く纏まっていたかと。
しかし、ゲームを楽しんでいたらリアルで子育てをすることになり、その上人類の未来に関わる重大な秘密計画に
巻き込まれて命の危険までありえるとか、主人公と美遥マジで不幸すぎである。