異界の軍師の救国奇譚 語部マサユキ(角川スニーカー文庫)
金なしコネなしチートなしの主人公が贈る異世界救国奇譚。
異世界召喚+軍師主人公ということで、歴史知識を活かした戦術炸裂の戦記ものかと思いきや
料理や服装といった現代知識を上手く活用して、自分やヒロインのティアを周囲に認めさせていくという
現代日本人ならではの要素を活かした内政系主体の話作りになっています。
二巻以降は戦闘描写も出てきましたが、主人公やヒロインはあくまで知恵出しやサポートが主体で
バトルそのものも血生臭さは皆無であり、あくまでトラブル解決のための一手段にすぎない模様。
ラブコメ的には三巻で告白(?)も完了し、メインヒロインのティアの単独ルートで確定?
主人公は救世主として異世界転生したにもかかわらず、庭師として働くことになった少年。
面倒見がよく、問題がある者に強気の言動でで説教や制裁を加えることができるオカン気質の持ち主。
モテることに拘り、必死に努力を重ねた結果、何でも器用にこなせるスキルを獲得したものの
やりすぎが原因で、肝心の女性からの評価は親しみやすく尊敬も出来る。
でも恋愛対象には入らない、都合の良い人&相談役という報われない結果に。
そのため、スペックの高さの割に、自身を過小評価する傾向がある。
ヒロインはネガティブお姫様。あと、レギュラーポジションに男勝りな護衛師やメイド長さんなども。
一番のお気に入りは呪われし運命に導かれる悲劇の王女、ティアリス・E・カルヴァドス。
魔力の低さから、主人公と出会うまでは周囲から役立たずと嘲笑されていた。
そのため、自分に自信がなく、基本的にネガティブ&卑屈思考で、褒められることに耐性がない。
しかし、その素顔は少々考えなしなところこそあるものの、素直で感情豊かと親しみやすい性格をしている。
現時点(三巻)においての評価はC。
ティアを悲劇のヒロインにしないことが絶対目標ということで、一見するとシリアス色が濃いように見えますが
全体的な雰囲気は割とギャグ混じりに明るくゆるゆるであり、幕間以外では重暗さはありません。
ただ、血に塗れた悲劇の未来を招く種が多々あるのも事実なので、まだまだ油断は出来ませんが。
とはいえ、オカン系主人公が実に頼りがいのあるキャラをしており、実際サクサクと問題解決案を出すので
悲惨な未来が示唆されても、深刻さより先に安心感を持つことが出来るんですけどね。