オレ英雄伝説   秋水(角川スニーカー文庫)



主人公の妄想が現実になってしまった世界での厨二病コメディストーリー。
パロ&メタネタにフォント&挿絵芸満載と、とにかく目に賑やかな作品ですね。
ただ、取り扱っている題材が厨二病なだけに、読み手を選ぶのは間違いないかと。
ぶっちゃけ、厨二病を理解できないと、滑って空回りしているだけの内容にしか見えませんし。
ラブコメ面は、今のところチョロインだらけで主人公はモテモテ状態ですが
あくまで改変された世界での話だと考えると、最終的にどうなるかが引っかかるところ。

主人公は自信の妄想が現実になってしまった世界で戦うことになった少年。
重度の厨二病の発症者にして八十年代漫画オタク。
空気が読めない性格で、度々周囲が引くレベルで自身の妄想やオタ知識を語ってしまう。
基本的に他人の視線は気にしないが、拒絶や侮蔑には一応精神ダメージを受ける模様。
将来の夢は天才クリエイターであり、信念を持ち夢に向かって打ち込んでいる。
という意味では不屈の努力家と褒めていい男かもしれない。

ヒロインは女アンドロイド、サイキック幼馴染、凄腕剣士な男装後輩。
一番のお気に入りは斬鬼の一族の剣士な後輩、中条寺アマネ。
元の世界では中世的なルックスなだけの男の幼馴染だったのだが
改変世界では剣術道場の一人娘(幼少から男として育てられた)に変化している。
素直で健気、そして純情な性格をしており、物腰も礼儀正しく淑やか。
また、料理上手で家庭的と大和撫子そのものなスペックを誇っている。
ただ、変人である主人公を慕っていたりと、どこかズレたところも。

現時点(一巻)においての評価はC。
シリアス成分がほとんどなく、ノリと勢いだけの展開がメインにして大半なので
整合性を求める、辻褄を考えるなど、とにかく冷静に読もうとしたら負けな作品です。
とはいえ、逆に言えば楽しめる人にはとても笑える内容になっているともいえるのですが。
ヒロインも、これ以上ないテンプレ作りではあるものの、変な捻りがない分純粋にキャラ萌えできるわけですし。
しかし、次巻以降は設定通りに進むなら黒歴史が延々と掘り起こされるのか……恐ろしい。