魔装学園Ｈ×Ｈ　　　久慈マサムネ（角川スニーカー文庫）



魔導装甲を身に纏い、異世界からの侵略者と戦う少年少女たちの学園バトルストーリー。
使用者は女の子が多数を占めるパワードスーツ系装備でのバトルもの、というお約束設定の話ですね。
戦闘描写はやや大味ですが、主人公の能力がエロ行為で女の子の力をチャージ＆ブーストするというものなので
むしろ本作のメインは戦闘前の準備段階にあるといっても過言ではないでしょう。
ぶっちゃけ、ギリギリっていうかもうアウトだろって感じエロ描写がそれを証明していますし。
ラストは世界を意のままに破滅させんとしていた機械神を撃破し、平和が訪れてハッピーエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの愛音と結ばれて終わった形ではありますが、他ヒロインたちとの肉体関係は
普通に継続されていますし、一夫多妻制も検討されているので将来的にはハーレムエンドになりそう。
なお、アフターエピソードでは三人ほど妊娠させていたことが判明。

主人公は姉からの要請で戦略防衛学園アタラクシアに所属することになった少年。
その能力ゆえに、いきなり女の子たちと急接近しまくることになったものの
本人は年頃の少年らしい異性への興味こそあれど、耐性がまるでなく、考え方も結構古風なところがあるため
戸惑いの日々をおくる羽目に。しかし巻を経るごとにエロ方面に覚醒し始めているあたり、素質はあった模様。
普段は押しに弱く、ヘタレで感情的になりやすいなど、情けないところが目立つものの
イザという時は他人のために己の身を省みず動くことができる好漢。

ヒロインは残念毒舌少女、スーパーエースなお嬢様、潔癖な風紀委員、純粋無垢な留学生、勝気なポニテ娘。
総司令な姉、武人な戦士、優雅なレズ戦士、シスコンな妹皇帝やその部下たち、ツンツン妹なども。
一番のお気に入りは中距離の戦闘に長ける日本のエース、姫川ハユル。
学園では風紀委員を務めており、常に真面目で凛とし、落ち着きのある態度を見せている。
が、Ｈなことが苦手なため、破廉恥な事態に直面するとカッとなって暴走するような潔癖なところも。
しかし、決して話が通じないわけではなく、素は気づかいのできる心優しい性格の女の子。

評価はＣ。
描写も挿絵も、とにかくエロ全開とばかりに肌色成分が多め。セールスポイントが実にあからさまである。
とはいえ、設定に目立つ粗はなく、全体の流れも理解しやすく王道を行くものに仕上がっていますし
エロ推しという表面部分に騙されそうになりますが、大きなマイナスがないんですよねこの作品、何気に。
各巻におけるクライマックスバトルの盛り上げ方も勢いと爽快感があっていい感じでしたし。
まあ、その切欠が全部エロ方面に偏っているので、俯瞰的に見るとかなりシュールではあったのですが。
本筋はエロ要素が濃すぎてストーリーがあまり頭に入ってこなかった感があるのが正直なところですが
起承転結はシッカリとしていましたし、着地も綺麗だったので読後感は申し分なしだったかと。
ただ、結局離れ離れになった異世界の面々とはちゃんと再会できたのかどうかは知りたかったですが…