ふらぐ・ぶれいかぁ   黒宮竜之介(電撃文庫)



伝説の木を巡って対立する二つの組織の戦いに巻き込まれることになった少年の物語。
タイトル通り、フラグに焦点が当てられており、色んなフラグが次々に立っている様は見ていて楽しい。
一応能力バトル要素があるものの、あくまで恋愛面が重視されているために基本的には平和っぽい。
ただ、フラグという要素を主軸にしてあるためか、どこか強迫感というかキャラの言動に自由さがない印象。
キャラが動いているというよりも、動かされている感が読んでて強い感じですね。

主人公は貧乏にへこたれず、日々を強く生きる高校生。
父親が愛人作って貢ぎまくった挙句に心中、残ったのは多額の借金。
という非行に走っても無理はない環境なのに、前向きでポジティブな性格。
強気な相手にはヘタレだが、筋を通そうとする意志は強く、男らしい一面もある。
基本的に不幸で、本編ではヒロインたちから脅迫・暴力・毒舌、そして周囲からは嫉妬を一身に受けている。
その上、仕事上の都合でカップルの監視などもやらされていたりとここまでくればその精神力は賞賛もの。
フラグを破壊&創造する能力を所持しているも、自分の意志で発動させることは出来ない。
……ていうか能力・境遇・普段の扱いを見てて誰かに似てると思ったけど、禁書の上条さんだw
母親に絶賛されるほどマッサージが得意らしい。

ヒロインは暴力ちびっこお嬢様、腹黒お嬢様、毒舌クール眼鏡後輩、内気な小学生。
恐ろしいことにほぼ全員思いっきりSで主人公をいたぶることに躊躇がない。
二巻でSじゃない優しいヒロインが増えましたが、小学生だからなぁ。社会的に主人公を責めてるしw
一番のお気に入りは、クールサディスト眼鏡後輩の朝倉美緒。
趣味なのか、いつもクロスワードパズルをやっていて基本的に無口、でも口を開けば毒舌のオンパレード。
それでも他の娘に比べればマシなほうだと(主人公も私も)思えてしまうあたりが怖い。
年功序列を重視するタイプで、主人公に対してもそこだけはキチンとしている。
普段は冷静で何事にも動じない空気を身に纏っているが、その実裏では色々意識しまくってるのが大変可愛い。
ビジュアル的にも実に好みです、二巻で描かれた眼鏡を外した姿は実に可愛くてよかった。

現時点(二巻)においての評価はC。
発想は面白いと思う、主人公もやや説教臭い部分もあるけど好感が抱けるタイプだし、綺麗に話が終わってるのも良し。
ただしヒロインがかなり致命的なレベルでアウト、理不尽暴力型のヒロインは一人でもキツイのに全員とか…
これじゃいくらデレ見せられても、お前ら本当に主人公に好意あるの?としか。
二巻では大分緩和されてましたが、主人公の得てるリターンがどう考えても割にあってないんですよね。
続編出るんだろうかと危ぶんでいたので二巻が出たのは嬉しいところ。
ただ、一巻で綺麗に終わっていたがために、どうも無理矢理続きを書きました感がありましたね。
勿論、三巻が出れば購入するつもりではありますが…