ワールドウォーカーズ・クロニクル 翅田大介(HJ文庫)
騎士団の英雄である主人公があらゆる異世界で暴れ回る、異世界移動ファンタジー。
冒険心の強い主人公が、文字通り世界を股にかけて自分探しの旅をする物語です。
ファンタジー世界を出発点に、様々な未知の世界を渡り歩くというスケールの大きさに、ワクワクが止まりません。
色んな場所を旅するからこそファンタジーは面白い。と改めて実感させてくれる作品かと。
ラブコメ面は主人公が「重荷にならない女」が良いという、恋愛に重きを置かないタイプであるため
基本的に重要ヒロインを常に引き連れつつ、各世界で現地妻を作っていく方式の模様。軽く最低である。
主人公はその剣の腕前と功績から「白刃の死神」の二つ名を持つ教会騎士。
物怖じせず、図太く豪胆であけすけ、好奇心が強い。と悪戯小僧がそのまま大きくなったような人格をしている。
また、人の警戒心を解く独特の雰囲気を持っており、コミュ力も高い。
戦士としては戦闘力の高さは勿論、勇敢で頭もまわり、機転も利くとかなり優秀なのだが
出世や功名心には興味がないため、上に媚びず、常に軽薄で飄々とした態度を崩さず過ごしている。
「出来ない約束はしない、した約束には全力を尽くす」が信条。
ヒロインは堅物な姫騎士、記憶喪失の不思議少女、明朗な海身人の娘、天才な従妹。
異世界ごとに現地妻ができる方式のようなので、今後もヒロインはどんどん増えると思われ。
一番のお気に入りは名家の生まれの美しく気高い姫騎士、エリザ・ディアモンド。
理知的で情が深く、真面目で口下手、そして誇り高い性格をしている。
基本的に箱入り娘であるがゆえに堅物で純情で、そのため、からかいや色恋沙汰に耐性がない。
しかし、想い人である主人公が旅立ったことを切欠に、受身だった自分を捨て去り、女として覚醒を開始した。
現時点(二巻)においての評価はC。
主人公が精神的にも戦士としてもほぼ完成しており、気性も常に前向きで明るいため安定感は抜群。
また、好奇心の赴くままにガンガン能動的に動いてくれるので、余計な回り道やマイナス方向のタメが少なく
話がサクサク進むため、ストレスフリーな読み味になっているのもグッド。
ただ、それゆえに置き去りにしているものも多く、言葉に表しにくい不満が残るのが難点でしょうか。
とはいえ、このスッパリとした割り切りこそが主人公の、そしてこの物語の魅力でもあるので痛し痒しなところ。
本筋は新たな仲間を加えつつ、謎の敵対組織も現れ、話が大きくなってきましたが、さて。