侵蝕ダンジョンと神速の奪還小隊 しやけ遊魚(HJ文庫)
世界を喰らう迷宮から人々を救う、突破と奪還のダンジョン×レスキュー×ファンタジー。
ダンジョンに潜って攻略する、ではなく、ダンジョンが天災のように襲ってくる。
という発想が面白くていいですね。前提として事前調査などの準備ができないので常に緊迫感がありますし
主人公とヒロインにも、世界の根幹レベルの秘密がありそうで先が気になります。
ラブコメ面は、早速三角関係っぽい状態が構築されていますが、ギスギス感はまるでなく
若者らしい初々しさと絆を結んだ仲間同士のアットホーム感が出ていていい感じかと。
主人公は救助部隊緋十字の新入隊員な糸使いの少年。
物事に無頓着で無邪気。また、自由人気質なところがあり、繊細とはほど遠い性格。
それに加え、まともな教育を受けていないため、敬語が苦手でマナーも酷い。
しかし、任務にかける思いと情熱は人一倍であり、仲間思いでもある。
ヒロインはぼっちなエリート隊長、無表情な歌姫。
一番のお気に入りは奪還小隊隊長な召喚士、アリシア・アイナビスタ。
礼儀正しく、嘘や隠し事ができないほどの真面目な性格で、誰に対しても敬語で喋る。
能力的にも現役最強の実力者であり、上層部からの信頼も厚いエリートなのだが
その特異な能力ゆえに、孤高の魔皇帝(エンペリオ)と称されており、同僚からは避けられ、ぼっち。
しかし当の本人は寂しがりやで引っ込み思案の構ってちゃんであるため、己の状況を嘆いている。
現時点(一巻)においての評価はC。
基本設定こそやや常道から外れているものの、全体的な構成はむしろ王道寄りの作品ですね。
初期の段階から人間関係や戦術がスムーズで、チームも不和なく問題なく動き、ストレスフリーですし
世界観の構築も、大きな矛盾やおかしなところがなく、内容を理解しやすいです。
対峙する脅威がかなり厄介であり、戦力や知識の不足という点が不安ではありますが…
主人公たちならばどんな困難にも負けはしない、という魅力を見せてくれるので安心して読めます。
今後に関しては、小隊とはいえ三人は少ないですし、仲間兼ヒロイン候補の増加に期待したいところ。