邪神攻略者の戦技教導 空埜一樹(HJ文庫)
邪神を身に宿した少年の落ちこぼれ部隊最強化計画物語。
内容は、強者な主人公が隊長として落ちこぼれたちを導いていく、いわゆる教官系の話になっていますが
主人公が昼行灯キャラではなく、また、弱体化や過剰に不便な制限(ありでも強い)がある設定でもないため
ストレスフリーでサクサクと話が進行していくのが良い感じですね。
情けない面がないので、部下(ヒロイン)たちからの尊敬や好意もスムーズかつ自然に集まりますし。
ラストは宿敵を倒し、人類の危機を救い、そして主人公は世界を巡る旅へ―――エンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのリュミエルと結ばれて終了。
主人公はかつて世界を滅亡寸前まで追い込んだ邪神をその身に宿した少年。
数年間に及ぶ厳しい修行の後、魔物討伐で活躍していたことから「漆黒の守護者」の名で有名。
年齢の割に懐が広く、正に歴戦のツワモノといった落ち着きと強かさを兼ね備えており
芯には何者にも屈しない意志の強さを持っている。
戦闘巧者であると同時に、指導者としての資質にも優れているなど、スペック的にはかなりの完璧超人。
ただ、修行付けの人生を送ってきたため、色恋沙汰には不慣れで疎いところも。
ヒロインは才色兼備な副隊長、エリート騎士な幼馴染、ドジっ子な妖精使い、孤高の天才少女、幼女邪神。
二巻にて部隊にクール軍人調な新人が加入するも、ヒロイン化するかは不明。
一番のお気に入りは細剣使いの副隊長、リュミエル=ディ=シュヴァリエ。
頑固で融通がきかないところこそあるものの、真面目で礼儀正しく、責任感が強くて一途な性格。
主人公のことを心から尊敬しており、その心酔度合いは身体を差し出すことを厭わないほど。
ただ、根は純情らしく、主人公のちょっとした好意的言動に過剰反応することも。
現時点(三巻)においての評価はC。
人類を襲う異形の敵、裏で糸を引く謎の組織、経験豊富な最強主人公、魅力的なヒロイン達。
そして、主人公に導かれ、才能を開花させていく落ちこぼれ扱いだった問題児たち。
と、用意された王道のカタルシス要素が、余すところなく期待通りに使われているといった感じの作品でした。
本筋は、クライマックスの総力戦の模様や、締めの綺麗さはよく纏まっていたと思うのですが
やはり四巻完結ではストーリーやキャラの積み重ねと掘り下げが足りず、それ以上には届かなかった印象。
ヒロインレースにしても、リュミエル以外のヒロインはそもそも土俵にあげてすらもらえず終わった気が…
あと、ラスボスの動機が普通に同情できるものだったことと、最後に主人公を助けるために相棒が消滅。
の二点があったせいで、読後感も正直微妙でしたし。とにかく色々と後一歩物足りない感が強かったです。