僕の文芸部にビッチがいるなんてありえない。 赤福大和(講談社ラノベ文庫)
ビッチ嫌いの主人公が美少女たちに囲まれて四苦八苦な、ビッチ×オタクの学園ラブコメ。
分類的にはお悩み相談部活ものですね。ただし持ち込まれる相談はあくまでラブコメイベントのダシ扱いの模様。
あと、タイトルとは裏腹に、登場するヒロインたちは別にビッチというわけではありません。むしろ純愛系です。
単に主人公がビッチビッチと主張してうるさいだけなので、不安になる必要はないです。
ラストはメインヒロインの愛沢愛羽と結ばれ、そして九年後、二人は幸せな結婚式を挙げハッピーエンド。
ラブコメ的には上記の結果で終わるも、仕事の上司はもう一人のメインヒロイン、義妹とは同居。
残りのヒロインたちとも未だ交流ありと主人公自身には浮気心はないものの、客観的にはハーレム環境である。
主人公は現実の美少女はビッチばかりだと頑なに信じるオタク少年。
過去の出来事から、目立つことと現実の美少女を忌避しており、結果、二次元に走った。
気が利かず、ドジでヘタレと、男として、そしてラブコメ主人公としてのスペックはかなり低い。
しかし、イザという時身体を張っててでも敵に屈しない強さ、何よりも妹のシャルテを大事に思う心。
そして、困っている人を放っておけない優しさなど、他人に好感を持たれるような良い部分も有している。
本人に自覚はないが「女性の身体の扱いが上手」というエロ向きの才能持ち。
ヒロインは人気者なギャル娘、腹黒ドSお嬢様、ブラコン義妹、チビっ子姉貴分幼馴染、小悪魔系不良娘。
一番のお気に入りは元戦争孤児にして中学三年生の肉食系ブラコン義妹、育野シャルテ。
他人を責めることができない優しい性格をしており、学校では優等生生徒会長として振舞っているが
戦争によって目の前で家族を亡くした過去の心の傷が原因で、感情の起伏がほとんどなく
いつも氷のような無表情、そして生気を感じさせない虚ろな瞳をしている。
ただ、大好きな兄である主人公に対しては純粋一途であり、ベタ甘で素直な態度が平常運転。
とはいえ、どうしようもない時以外はお風呂であっても離れようとしない、パソコンの履歴チェックを逐一怠らない。
男と女の関係を迫ることもしばしば、などとその愛情には少々行き過ぎた面も。
評価はB。
タイトルで身構えてしまいますが、中身はいたってオーソドックスなラキスケ多めの学園ラブコメでした。
多少面倒くさいところこそあれども、それぞれが独自の恋する乙女可愛さがあるヒロインたちは魅力抜群。
ただ、それだけに最初の頃の「なんでコイツが好かれるの?」な主人公のキャラが難点ではありましたが。
巻を経るごとに少しずつ男気を見せる場面も多くなり、一応好感度はプラスに転じはするんですけどね。
本筋は五人のヒロイン全員との関係にそれなりの尺を取った上でキチンとした決着をつけての完結と
少々ご都合主義こそ見えども、ラブコメものとしては誠実かつ円満な纏め方になっていたと思います。
作品のテーマである「ビッチ」についても綺麗な結論を出して終わっていたので読後感もスッキリ。