レヴナントガーデン   日富美信吾(講談社ラノベ文庫)



想刻器と呼ばれる、死者の怨念が宿ったモノが引き起こす事件が多発する世界を舞台にした物語。
設定的に異能バトルが中心かと思いきや、戦闘関連の描写はかなりあっさり目。
どちらかというと、キャラの心の成長や、信念&心情の交流やぶつかり合いがメインの模様。
「想い」が主題になっているだけあって、心情描写は丁寧で筋道立っており、感情移入しやすいです。
ラブコメ要素は一巻時点ではほぼ皆無。というか、主人公の精神的にそんな余裕がない感じでしょうか。

主人公は想刻器への復讐に生きる少年。
想刻器に家族を奪われた過去を持っており、その時のショックで、前髪の一房が白髪になっている。
攻撃的で無愛想、口数も少なく、目上への態度も悪い。
ただ、それは想刻器への復讐が第一故であり、根は口下手ながらも情に厚い性格をしている。

ヒロインは少し天然な慈愛少女、男前なチームリーダー、ゆるふわ微S娘。
一番のお気に入りは弄られ役&苦労人のチームリーダー、伊那木未緋。
長身かつスレンダー、赤みがかったショートカットの髪、男性的な口調。
また、責任感が強く仲間思いな性格など、一見すると凛々しい美少年風の少女。
しかし、照れ屋であったりムキになりやすかったりとツンデレ気味ところがあったり
結構な甘党であったりと、しっかりと女の子らしい一面も。

現時点(一巻)においての評価はC。
バトルが派手さもなくサクッと終わることもあり、少々テンポが良すぎるというか
あっさり話が進みすぎなため、全体的な盛り上がりに欠け、メリハリがきいてない印象。
想刻器の設定は中々話を広げる余地がありそうで期待が持てるのですが……
ただ、何故回収重視で破壊がダメなのかがちょっと疑問かも?
人にとりつくことを考えると、遺品であっても壊したほうが後腐れがないですし。
今後の展開としては、主要キャラを掘り下げつつ事件解決を繰り返していく感じですかね?
主人公の仇もまだ見つかってませんし、やり方次第では息の長い物語になりそうですが、さて。
個人的には、一巻ではほとんど見られなかった日常パートを増やしてほしいところ。