竜騎士の飛槍烈戦   藤春都(一迅社文庫)



竜騎士が国を守るべく空を舞う世界を舞台にした、ファンタジーストーリー。
女性ばかりが持つ適正を得た男の主人公、と書くとよくある設定なわけですが
実際は竜に乗れるだけ(前例もある)なので、あまり特別っぽさは強調されていない感じですね。
舞台となる学院にしても、仕官学校を兼ねているので普通に多数の男が周囲にいますし。
そういう意味では、試合のルールなどもですが、ラノベなのにどこか常識的すぎるというか、地味な印象を受けます。
ラブコメ面に関しては、ダブルヒロインで固定の模様ですが、アーシャ強すぎで王女様が劣勢すぎである。

主人公は古代竜に選ばれた、竜騎士に憧れる少年。
元々は街の警備隊の所属していたのだが、古代竜に選ばれたことによって竜騎士学院に所属することに。
真面目で誠実な性格をしており、基本的に温厚で気弱ともいえる気質の持ち主。
しかし、理不尽に敢然と立ち向かうことができる勇敢さを内に秘めている。

ヒロインはお婿さんを探す竜の巫女、実直な第三王女。
一番のお気に入りは主人公を婿にするべく奮闘する竜の巫女、アーシャ。
あまり感情の色が見えない表情が常で、物言いも淡々としているが
その言動は結構強かであったり強引でキッパリとしたものであったりと、内面の感情は豊か。
また、幼い頃竜の思考に見た主人公に恋心を抱き、彼の立派なお嫁さんとなるべく
一級品の家事能力を習得するなど、真面目で一途な性格でもある。
なお、身体は華奢だが、胸はとても大きい。

現時点(二巻)においての評価はC。
ぶっちゃけ、この作品の売りはアーシャのお嫁さん的可愛さに尽きると思います。
竜騎士の戦いは馬上試合の拡大版でしかないので、描写の迫力はあれども華がない。
ストーリー面も、キナ臭い世界情勢の割にハッキリとしたボス悪役がいないので爽快感に欠けるという。
つまり、全体的にメリハリがないんですよね。肝心の主人公の特別要素も竜に乗れることだけですし。
しかも、竜殺しなのに竜を殺さないし、不殺主義だから戦争ありの世界観と噛み合ってない感が強いわけで。
いやまあ実際にまだ戦争が起きてない以上、甘い思考でいるのは悪いことではないのですが。
良くも悪くもあらゆる部分で小さくまとまりすぎている作品、というのが率直な感想。