正妻の座は渡さない! 天草白(一迅社文庫)
嫁候補3人による、財閥後継者な主人公を巡る正妻争奪学園ハーレムラブコメストーリー。
変な捻りなど欠片もない、表題通りのストレートなドタバタラブコメ作品ですね。
この手の話は、周囲の過剰な嫉妬を浴びたり、ヒロインの強引なアプローチに苦労するなど
むしろ羨ましくない状況になることが多いですが、本作にはそういうのがなく、ストレスを感じませんでした。
主人公も、受身気味ながら芯が最後までブレず好感を抱けるタイプでしたし。
ラストはメインヒロインの夏瀬真由を妻に選ぶも、正妻を巡る争いはまだこれからだエンド。
主人公は世界規模の財閥の総帥の隠し子にして後継者に指名されてしまった少年。
家計の苦しい母子家庭で育ってきたため、お金については倹約第一であり
欲も薄いほうなため、降ってわいた幸運にもそれほど喜んではいない。
お人よしで素直、そして純情で真面目と、だまされやすく、そしてからかわれやすい性格。
本編開始まではクラスでは目立たず、大人しい存在だった。
ヒロインは小悪魔な後輩、大阪弁のポニテ転校生、マイペースなゆるふわ先輩。
一番のお気に入りは中学生時代からの後輩にして正妻候補の一人、夏瀬真由。
明るく溌剌としてしっかり者であり、新入生ナンバーワンの呼び声も高い美少女。
小悪魔気質で悪戯好きな性格。また、主人公に対しお姉さんぶることもあったりと
精神的に図太いタイプだが、実はお家優先な母親に逆らえず内心で苦悩する心の弱い一面も。
評価はC。
内容そのものは目新しさもなく、ありきたりで先を読みやすかったものの
正妻の座を巡り争う美少女たち、という主題自体は一巻でコンパクトかつ綺麗にまとまっていたかと。
サブヒロインたちにも、それぞれ見せ場がちゃんと用意されており、存在感がきちんとありましたし。
ただ、それゆえにヒロイン争いが実質的に出来レースじみていたのが残念なところ。
開始時点で主人公に本命がいる上、残りのヒロインが初対面スタートじゃどうしようもないだろうと。
しかも、半端にシリアス要素が入っていたため、肝心の嫁バトル自体は描写がおざなりだったという…
というか、タイトル的に考えて、正妻+残りは妾(側室)オチかと思っていたので結構ガッガリ。