大英雄が無職で何が悪い   十文字青(オーバーラップ文庫)



まるでゲームのような世界グリムガルで生き抜くために戦う少年の英雄譚。
分類的には異世界召喚ものになると思われますが、主人公が一巻では一撃必殺効果の剣、二巻では銃。
と武器チートで戦うというのが珍しいですね。しかもただ単純に武器の性能に頼って無双するのではなく
頭を使って戦術的に動き、勝ちを拾うという形であるため、かなり緊迫感のある読み応えになっていますし。
ラブコメ面は、三巻終了時点でパーティーの女性陣に加えて現地妻など、ハーレム化は順調?

主人公は異世界で生き抜くために戦いに身を投じることになった少年。
傲慢不遜で礼儀知らず、大言壮語ばかりで根拠のない自信家、そして自分勝手な性格をしており
また、相手が誰であっても媚び諂わず、常にえらそうな態度を崩さない。
しかし、どんな時も決して諦めず、覚悟を抱き自分を信じて目的達成を目指す信念の強さを同時に備えている。
スペック的には、頭の回転、観察力、判断力、行動力は抜群。と精神&頭脳面は優秀なのだが
自信過剰な性格ゆえに行き当たりばったりで行動し、危機に陥ることもしばしば。

ヒロインは豆腐メンタルな神官少女、チョコ好きのダメエルフ、天然系アホの子魔法使い。
二巻にて威勢の良いドワーフ娘とドワーフの女王が参入。
一番のお気に入りは、流されるままに主人公らと行動を共にする少女、イチカ。
責任感が強く、真面目な性格で、適当な態度の主人公に対しては常に口やかましい。
が、頼られることや褒められること、そして押しに弱かったりと、基本的に騙されやすくチョロイ。
実はメンタルが弱く、ビビリで気にしいの泣き虫。
また、自分に自信が持てず、強引に引っ張られると流されるままになってしまうタイプでもある。

現時点(三巻)においての評価はC。
主人公が「黙って俺について来い!」系なので話のテンポがサクサクでストレスなく読み進められます。
進行そのものはお約束補正にモノを言わせた結果オーライ展開が多いですが
引かぬ媚びぬ省みぬ!な主人公のキャラが、上手くファンタジーな世界観にマッチしている感じ。
見ていて結構疲れるけれども、締めには心地よい読後感を与えてくれる冒険譚ですね。
まあ、世界観説明が少々後出しすぎるというか、進行を優先しすぎな面が気になるところではありますが…
意味ありげで唐突な出だしに反し、今のところゴールどころか目標も提示されていませんし。
しかし主人公が三巻で隻腕になっちゃいましたが、どうするんだこれ…