烈風の魔札使と召喚戦争 森田季節(オーバーラップ文庫)
異世界に召喚された主人公のカードゲームバトル英雄戦記。
大筋の流れはお約束を踏襲しつつも、戦争方法がカードバトルというのが珍しい作品ですね。
発想は面白いと思います。ですが、カードバトル関連のシステムがファジーなため
所々何をやっているのかわからず、結局はちょっと変わった魔法バトルの域を抜けていなかった印象。
ラストは強大な敵国を打ち倒し、しかし主人公の望む戦乱の時代はまだまだ続くエンド。
ラブコメ的には、メインヒロインのリッカと結婚して終了。数年後には子供も出来ました。
重婚OKな世界観なのに……と思いきや、主人公には浮気の噂もあるようで、裏ではハーレム状態?
主人公は異世界に召喚されてカードバトルによる戦争に参加することになった少年。
向上心が強く、平穏よりも波乱を好む気質で、過ぎたことを気にしないタイプ。
そして、不敵で不遜な性格であり、常に飄々とした態度を崩さない。
また、カードバトルへの意欲があまりに高いため、異性にはそれほど興味がなく
そのため、たらしのような言動を平然と行ってしまうところがある。
元の世界では、カードバトルのワールドランキング67位の凄腕。
ヒロインは勝気な猫好き騎士、飴好きな幼女騎士、責任感の強い少女王、聡明な候女指揮官、健気な幼馴染。
一番のお気に入りはサクラッド王国の新王に就任した若き元王女、アルティア・セルゲイン。
王族としての責任感の強さとプライドの高さを併せ持っており、国のためであれば
自分の身を犠牲にすることすら厭わないなど、年齢にそぐわぬ性質を身に着けている。
能力に関しても、智謀、弁舌、度胸、カリスマ性を兼ね備えており、王としての資質は一級品。
ただ、素の部分はやはり年齢相応で、重圧に押し潰されそうになって泣いたり
色恋に不慣れため、頼りになる主人公にデレデレになったりすることも。
評価はC。
カードバトル部分はさておき、大筋のシナリオは王道の成り上がり英雄戦記ということで
主人公の活躍をメインにした戦争パートの盛り上がりは上々でした。
最終巻は設定のスケールの大きさの割にこじんまりとした纏め方だったのと、クライマックスであるラスボスとの
決着シーンがちょっと微妙だったのが残念でしたが、全体としては綺麗に一つの物語として纏まっていたかと。
キャラに関しては、主人公に振り回され、ツンを上手く中和されてしまうヒロインたちが可愛かったです。
ただ、当の主人公が少々薄情すぎるというか、前ばかりを向きすぎだったのが好みの分かれる点かも。
まあ、その分ヒロイン側がたくましいというか、積極的だったのでバランスは取れていた感じですが。