踊る星降るレネシクル   裕時悠示(GA文庫)



様々な個性がぶつかり合う、学園バトルアクションラブコメ。
ひきこもりや妄想、ロリコンといった要素ですら戦える力になる、というトンデモ設定が斬新で楽しいです。
バトル描写そのものはよくある能力バトルなのですが、力の源が上記のように特殊なため、退屈しません。
内容のほうは、ラブコメとバトルがバランスよく配分されていてメリハリがきいている印象。
結構勢い重視の構成になっているので、怒涛の流れについていけるかが評価のポイントでしょうか。
ラストは己の正義に基づく歪んだ平和を皆に強制せんとするラスボスたちを死闘の末に撃破し
そして少年はまぶしい輝きたちとともに、今日へ、明日へと歩いていくのだったエンド。
ラブコメ的には決着つかずで終了。主人公自身は終始本命は幼馴染で揺るがずだったのですが…

主人公は共に格闘術を習った幼馴染を追って、個性で戦う学園にやってきた少年。
その戦闘力は高いのだが、過去に幼馴染を傷つけてしまったことがトラウマになっており、戦うことを嫌っている。
お人よしかつ熱血気味、そして強情な性格であり、よく他人に説教をしているが
自分にも欠点が多いため、割と「お前が言うな」な内容になっていることもしばしば。
昔取った杵柄で、ぬいぐるみの取り扱いに慣れている。

ヒロインは素直な弟子、最強な幼馴染、ノリツッコミ芸人な同級生、ひきこもり少女、妄想電波少女。
一番のお気に入りは上位ランキングを保持し続けている引き篭もり同級生、更級もうふ。
ふわふわ柔らかそうな髪に、とろんとした大きな目が可愛らしい女の子だが
中二からの三年間、ずっと引き篭もり続けた筋金入りの引きこもりで、常に毛布に包まりゲームをしている。
要するに存在そのものが引きこもりであるため、学校に登校していても矛盾は発生しない。
ただ、その実力は学園上位であり、性格的にもかなりSっ気があるため周囲からは一目置かれている模様。
主人公とは、何気に(ほぼ強制的なものではあるが)親公認の仲になっていたりする。

評価はC。
特異な設定と、主要キャラたちの熱さが上手く噛み合っていて、戦闘シーンも苦もなく読めました。
キャラに関しては、ヒロインズはそれぞれが特徴的な個性と魅力を持っていて、印象に残りやすかったです。
主人公もややヘタレで考えなしな面がマイナスではあるものの、基本熱血なので不快感は覚えなかったですし。
盛り上げるべきところを盛り上げて、ラブコメするべきところをラブコメする。
設定は特異なのに、正統派なライトノベル。というアンバランスさがこの作品の魅力だったと思います。
あえて難をいうなら、登場人物(しかも多数が特殊すぎる名前)が多すぎて個人個人を覚えにくかった…
本筋は最終巻でほぼオールキャストが活躍するお祭り騒ぎ+最終決戦と盛り上がりは申し分なしでしたが
やはり問題点はノリと勢い重視の作風なのにも関わらず空き過ぎたラスト二巻の刊行間隔の長さだったかと。
いくら内容が面白くても、読み返しが必須なのはまず面倒くささが先に立ちましたからね正直…
あと、あとがきでも書いてあった通り、終わり方自体はあれでよかったと思いますがアフターは是非読みたい。