悪逆皇帝の絶対魔装 葉月双(GA文庫)
滅亡寸前の皇国を救うべく異世界に召喚された少年が戦乱の世を駆ける、無双ファンタジー。
一見するとよくある異世界召喚ものなのですが、主人公やヒロインのキャラ属性に捻りがあります。
主人公が地球出身なのに吸血鬼であったり、ヒロインがクーデレタイプであったりなどがそうですね。
ただ、あくまでそれは意表をついたものでしかなく、目新しさや面白さには直結していない感じ。
ラストは世界を救済の名の下に滅ぼさんとするラスボスを倒し、戦争終結エンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのレリアと結ばれて終了。なお、対抗ヒロインのパムは眼中なし失恋、ひでえ。
主人公は異世界に召喚された吸血鬼(しかも悪逆皇帝の生まれ変わり)の少年。
魔族と人間の存在する地球出身であり、共存のモデルケースとして人間たちの中で暮らしていた。
闘争を好む性格であり、戦いのことになると他の事が目に入らなくなるタイプ。
しかし、人殺しや拷問は嫌悪しており、弱いものいじめも好まない。と、あくまで強い者と戦いたいだけの闘争バカ。
普段は傲慢不遜で軽薄な態度をとっているが、女慣れしておらず、良い雰囲気になるとヘタレる。
好みの女性のタイプは、自分を好きといってくれる娘。
ヒロインは無表情クールな召喚士、愉快犯なウエイトレス。
一番のお気に入りは将軍の孫にして、高位の術式を操る召喚士、レリア・エルバイン。
常に無表情で口調も無感動で淡々としており、クールな態度を崩さない。
しかしそれは過去の悲劇が原因となっているだけで、感情がないわけではなく
家族や愛国心といった、自身の琴線に触れる状況になると感情を露にすることも。
評価はE。
とにかく全体的に展開に対する説得力が足りなさすぎる作品だったかな、と。
主人公一人の力ではどうにもならない状況からのスタートなのに、不自然にどうにかなってしまう展開の連続。
終盤に至っては、全部唐突に目覚めた愛の力で無理矢理押し通した感が強すぎですし。
最終巻でいきなり登場したラスボスや都合のよい知識&力を持つ未来人の存在も強引過ぎ。
打ち切りと考えればある程度は仕方ないにしろ、キャラの使い方が雑すぎるにもほどがあるわけで。
というか、戦争起こした張本人の敵国皇帝が報いの一つも受けずに最終的には恋人作って幸せ掴むって…
人死でまくりの戦争物語だったのに、オチが主要キャラだけに都合がよすぎなのがなぁ。民や兵が悲惨すぎる。
敵味方双方の悪い意味での我侭が最後まで通っただけで終わった、みたいな感じで消化不良感が凄い。
各巻クライマックスの盛り上げ方だけは悪くなかったんですけどね。逆を言えばそれだけなんですが。