アルケミストの終焉創造術　　　森田季節（ＧＡ文庫）



現代の魔法使いである虹界種の学園を舞台にした、オルタナティブ学園バトルストーリー。
異能バトル、学内ランキング制、特異な力で戦う主人公、早々のヒロインとの決闘。
と清々しいまでに最近の学園異能バトルラブコメのお約束要素を搭載した作品ですね。
主人公がドーピングをして戦うという点が特徴的ではありますが、これは単に突飛なだけといった印象。
というか、薬打つ前なら雑魚だし、敵側は不意打ちや奇襲をすればいいだけなのでは。誰もやらないけど。
ラストは異界の虹界の争乱を治め、悲願を果たし、そして主人公は新たなる王へ即位エンド。
ラブコメ的には輝夜と遥歌の二人と結婚、側室もまだまだ増えそうとハーレムエンドな感じで終了。

主人公は姉と妹のために虹界種の学園に転入した少年。
気配遮断などの隠密技術や調合技術は一流だが、素の戦闘力や身体能力は一般人以下。
無能力者ゆえに、薬によって力を引き出して戦うスタイルであり、錬薬師と呼ばれている。
基本的に温厚で落ち着いた性格だが、負けず嫌いで頑固。そして胆力も強い。
相手の好意には誠意で応じる、という考えを持っているが、同時に頼みごとを断れない優柔不断な面も。
また、周囲の親しい人間が皆ネジが外れた性格をしているためか、ツッコミ気質。

ヒロインは学内一位の勝気娘、肉食系ブラコン義妹、傲慢不遜な生徒会長。
現役女子高生アイドル、無表情系寺娘、王子様願望ありな寺娘、男勝りな諜報員。
一番のお気に入りは学内五位にして異世界の名家の娘な生徒会長、星ノ宮遥歌。
生まれに違わず、傲慢かつ自信家。そして我慢を知らない性格。
外面は常に冷静で大人びた上品なお嬢様といった感じなのだが、内面は腹黒。
そして、己が認めた人間には王者としての寛容さを見せることもあるが、敵対者には容赦がない。
実は守られることに慣れておらず、自身を助けてくれた主人公に好意を抱くような純情な一面も。

評価はＣ。
メインヒロインの輝夜はお約束のツンデレ娘ながら、デレ成分が多め、ツン部分もかなりまろやか。
と、不快感を一切感じさせず、他のヒロインたちもそれぞれ一癖ある可愛さが良い感じでした。
主人公も、尖った部分こそないものの、一本芯が通ってるキャラなので話の中心にいても安心感がありましたし。
ただ、戦闘面で悪い意味でのご都合主義がやや強めなのがマイナス点だったかと。
本筋は八方丸く収まってのハッピーエンドで終わったものの、イマイチ盛り上がりに欠けていたのが不満点。
黒幕たちは暗躍しまくりだった癖に妙に物分りがよかったですし、ラスボスもポッと出の上小物くさかったという。
ラストバトルも正直何をやっているかサッパリな感じでしたし、明確な悪を倒すという決着ではなかったので
爽快感も達成感もあまりなかったんですよね。ぶっちゃけ、虹界編はいらなかった気がします。