オタク荘の腐ってやがるお嬢様たち 長岡マキ子(富士見ファンタジア文庫)
腐女子な美少女ばかりが住む寮の管理人をすることになってしまった主人公の苦労ラブコメ。
通う学校が男子少数の元お嬢様学校、住む場所は男は自分一人の美少女だらけの寮。
と、舞台設定はお約束の見本のような作品です。ただし、ヒロインは皆腐女子、つまりBL好き。
一応、BL要素はあくまで進行のためのネタ扱いであり、生々しさはほとんどないため
パッと見の情報で「え、BL…?」と身構えてしまう人も安心して読めると思います。
気持ち悪さを感じさせない程度にコミカルな感じで描かれている腐女子の行動や思考も中々興味深いですし。
ラストは夢に向かって頑張ろうエンド。ラブコメ的にはメインヒロインの御車響子の勝利がほぼ確定で終了。
主人公はふとした切欠から、BLを好む少女たちと関わる羽目になってしまった少年。
学校では、数少ない男子生徒として悪目立ちしないよう普通に過ごすことを心がけているが
それが災いし、周囲からは孤高の硬派であると誤解されていた。
お人よしかつ面倒見のよい性格で、損得抜きで他人のために一生懸命になれるタイプ。
ただ、基本的にうっかりもので押しに弱く流されやすい上、コミュ力が低く
単純で直情的な性格なため、結果として厄介事を背負う羽目になることが多い。
ヒロインは高嶺の花な生徒会長、あざと可愛いアイドル、巨乳スポーツ娘、超天才な留年生、天才小説家な後輩。
一番のお気に入りは中学三年でデビューした天才少女小説家、花垣汐美。
勝気かつ積極的な性格で、普段はギャルっぽい格好と態度をしているが、やっぱり例に漏れず腐女子。
その内面は外面に反し、清純で家庭的。また、恋愛にも仕事にも真面目でしっかりとした考え方の持ち主。
一人称は「ウチ」
評価はC。
主人公とヒロインたちそれぞれの一生懸命さがよく伝わってくる、良質の青春ラブコメ作品でした。
まあ、BLを取り扱っているだけに、主人公に感情移入すると何か不憫な気持ちを抱いてしまいましたが。
美少女と仲良くなる代償がBLの世界への入門だからなぁ。自分なら絶対途中でギブアップしていましたね。
それだけに、苦難を乗り越えた主人公が報われ、ヒロインたちに好かれ始めた時の喜びはひとしお。
客観的には二人の美少女の間に挟まれて困惑しているだけなのに「良かったね」といいたくなる不思議!
しかし残念ながら、作品そのものは打ち切りのため、未攻略ヒロインが三人も残った状態で終了。
順調に行けば、五巻終了時点で腐女子ハーレム寮が完成していたと思われるだけに、残念無念…
二巻で話を纏めたがために、二巻ヒロインの汐美が後半引き立て役になっていたのも不満でしたし。