高1ですが異世界で城主はじめました   鏡裕之(HJ文庫)



異世界に召喚された主人公が城主として奮闘する成り上がり物語。
まんまタイトル通りの話です。吸血鬼やミイラといった人外が活躍する場面が多いのが珍しい点でしょうか。
種族差別や土地ごとの貧富&身分の問題、他国との外交といった重めの要素が取り扱われてはいるものの
諸問題を快刀乱麻の勢いで片付けていく軽妙かつテンポのよい構成になっているため、読み味はサッパリ。
ラブコメ面はお互いに嫉妬することなくヒロイン複数で迫ってくるなど、事実上のハーレム状態が完成しており
また、皆主人公への好意に素直なため、イチャイチャ(性行為あり)を気兼ねなく楽しめるのが素晴らしい。

主人公は友人と共に異世界に召喚され、成り行きから城主を務めることになってしまった少年。
のんびりした性格で、落ち着きこそあるが少しばかり常人とはテンポがズレている。
突然異世界に召喚されても恐怖や混乱といった動揺を覚えることなく、好奇心のほうが先立つなど
年齢の割に並外れて肝が据わっており、人外や権力者にもまるで臆さなかったりと度胸も抜群。
更には、頭がキレて気転が利き、弁舌もたつなどイザという時には頼れるタイプ。

ヒロインは健気なミイラ娘、男勝りなヴァンパイア、黒髪の眼鏡姫、聡明な補佐官エルフ、褐色肌の亡国王女。
あと、昇格候補に姉御肌なヴァンパイア、クールな知将なども。
なお、ヒロインは作者さんの嗜好で候補含め全員巨乳。つまりおっぱいハーレムである。
一番のお気に入りは主人公を一途に慕う健気なミイラ族の少女、ミミア。
能力的に秀でたものは持っていないが、大人しく控えめ、そして健気で心優しい純真な性格をしており
自身を世話役に抜擢してくれた主人公のことを心の底から慕っている。

現時点(二十四巻)においての評価はB。
主人公がどんな状況になっても「ヘタレずブレず明るく前向きに」を貫いているのが一番の評価点ですね。
理不尽な展開があっても巻き返しを信じられるので、イライラを覚えずに安心して読み進めることができます。
ヒロインたちも主人公のことを本当に信頼し慕っているのが伝わってくるのでほっこりニヤニヤできますし。
あえて気になる点を挙げるなら、一度攻勢にまわると完全に主人公のターンになってしまう構成なため
事件&苦難パートでの緊張感や危機感に欠けてしまうところでしょうか。爽快感は抜群なのですが…
まあ、ご都合主義な精霊の存在もありますし、この作品のノリを考えると欠点というほどではないかと。
本筋は機転によって隣国の大貴族との対決に勝利し、問題は解決して次巻へ。