仏教学校へようこそ   わかつきひかる(HJ文庫)



さとり教育ライフを描いた、異色の学園ラブコメストーリー。
舞台が仏教系学校ということで、仏教用語の登場や説明の頻度は高め。
が、ネタに走るわけでもギャグに落とすわけでもなく、単に説明してるだけ風描写が大半なため
どうしても地味な印象が強く、仏教に興味がないと流し読みになってしまいます。
ラブコメに関しては、所々ニヤッとできる部分こそあれど、今のところおまけ程度な感じ。

主人公は不運と偶然から仏教系の学校に入学することになってしまった少年。
構いたがりでお節介、脊髄反射で厄介事に首を突っ込んでしまうタイプの性格。
あと、鈍感からの失言が多く、やや楽観的で舞い上がりやすいところもあるため
事後に見る現実で、落ち込んでしまうこともしばしば。
また、募金をためらったり、学校に一々不満を抱いたりと、結構器が小さい。

ヒロインは寺の娘な幼馴染、華道の家元の娘。
あと、サブヒロインポジにロリショタ眼鏡っ子、ギャル風メイクの葬儀屋の娘など。
一番のお気に入りは僧侶の資格を得るために仏教科に所属している少女、山之坊撫子。
凛としたクールな佇まいの大和撫子風美少女で、上品さと落ち着き、練達の華道の腕前。
そしてカリスマとリーダシップを併せ持っている。
しかし、色恋が絡む状況になると大げさに照れてしまったり、人に助けを求めようとせず
弱みを自分ひとりで抱え込む傾向があったりと、完璧なだけではない一面も。

現時点(一巻)においての評価はC。
仏教という特殊な素材は興味深いですが、あくまで素材にしかなっていない印象。
ラノベらしいデフォルメや突き抜け具合が足りていないというか。
全体的な構成そのものは、学園青春ものとして手堅くまとまってはいるんですけどね。
ヒロインは皆良い娘で可愛らしく、好感度高いですし。
ただ、肝心の主人公が良くも悪くも普通の感性を持ったキャラなため
舞台の異色さに対し、やる気のなさや文句といった形で悪い面がですぎかな、と
他のキャラに文句がないだけに、一人浮いてしまっている感が……