サービス&バトラー 望月唯一(講談社ラノベ文庫)
テニス×執事×お嬢様な学園ラブコメディ。
パッと見は色物系な感じですが、中身は意外にしっかりとした青春スポ魂ものに仕上がっています。
テニスパートは経験者でなくても内容が理解できるわかりやすい描写になっており
当然非現実的な必殺技や超人も出てきません。それでいて一生懸命さや熱さはしっかり伝わってくるのがグッド。
反面、日常の掛け合いパートは主人公の軟派な軽さもあってか、少し滑ってる感がありましたが。
ラストは色々あったけれども、執事&第二テニス部生活は順調ですエンド。
ラブコメ的にはヒロイン三人にフラグこそ立てたものの、実質的な進展はなしで終了。
主人公は利き腕の怪我を切欠に、スポーツ特待生から執事へとジョブチェンジすることになった少年。
軽薄な性格で、シリアスな空気が大の苦手。
そのため、普段から呼吸するように冗談やセクハラ発言を繰り返しており、テンションも常時高め。
ただ、テニスに関してだけは妥協せず、誠実で真剣な面を見せることもあったりと決める時は決めるタイプ。
ヒロインは曲がったことが嫌いなお嬢様、優等生なメイドさん、勝気な後輩。
サブにフリーダムなちびっ子、クール系ボクっ娘など。
一番のお気に入りは主人公と同じ主に仕えるメイド少女、月城芹葉。
真面目で苦労性、責任感が強く、頑固で意地っ張りな上、色んなことに気を遣いやすい。
比較的大人しい性格に反し、意外と容赦のない一面もあったりする。
元は第一テニス部で一年にしてレギュラーを張っていたほどの実力者で、成績も学年上位。
これに加えてメイド業務もこなしているのだから、割と完璧超人である。
評価はC。
この手の設定(セレブ学校での部活もの)にしては、まっとうすぎる部活描写が逆に新鮮でした。
まあ、所々おふざけが入ることもありましたが、テニス関係の部分では普通に真面目でしたし。
総合的に見て、青春スポーツラノベとしては気軽に楽しめる出来の作品だったと思います。
ただ「テニスを楽しむ」を重視したがゆえに、公式試合や遠征といったイベントがなかったのが痛かったですね。
やはりスポーツである以上は試合が華ですから、学校内の試合だけでは地味な印象を拭いきれなかった感が。
本筋に関しても、話に区切りこそ付いてはいたものの、掘り下げ回をもらえなかった部員がいましたし
肝心のヒロインたちとのラブコメも、各巻で一人ずつフラグを立てただけで投げっぱなしという。
おかげで、これで終わるの? という消化不良感と不満が残ってしまったのが大きなマイナス点でしたね。