シス×トラ 橘九位(講談社ラノベ文庫)
ある日突然できた義妹と学園一の才女との間で苦労する主人公の苦労ラブコメディ。
一言で言えば、心に傷を負った義妹を癒し、共にあろうと奮闘する兄のお話ですね。
大筋はホームドラマコメディっぽい構成になっており、堅実な作品に仕上がっているかと。
ただ、イベントや展開にサプライズがまったくないため、先が読み易すぎてありきたりすぎるのが難点ですが。
ラストは雨降って地固まり、メインヒロインのリディと結ばれてハッピーエンド。
主人公はある日突然できた義妹と一緒に暮らすことになった少年。
あまり能動的な性格ではなく、受身的な態度をとることが多い。
周りに波風を立てるくらいなら自分が我慢すればいい、と損を引き受けるタイプ。ぶっちゃけMなだけともいう。
反面、基本的にバカなので勢いで行動することも多く、同時に妄想たくましい部分を持っている。
ヒロインは天才義妹、ハイスペックブラコンお嬢様。
一番のお気に入りは十歳のロシア人天才少女、リディア・スヴィアインスキー。
常に無表情で口調も淡々としており、クールビューティーの形容がよく似合う。
育ちのせいか、やや常識知らずな上、極端な行動をとるところがあり
気にいらない人間にはかなり容赦ない対応をとるが、基本的には素直な性格。
父親に裏切られた過去から、独りぼっちになること、裏切られることを怖がっている。
評価はD。
リディ可愛い! こんな妹が欲しい! が全てであり、後は正直マイナス面ばかりが目立つ作品でした。
セカンドヒロインの一妃はウザ面倒臭く、周囲の人間は主人公に厄介事を押し付けてばかり。
肝心の主人公自身は優しいというよりはヘタレで卑屈なだけ。その上悪い意味での馬鹿にしか見えず
一応男気を見せる場面こそあるものの、最後の最後まで好きになれなかったのが痛い。
本筋は典型的な「二巻以降が蛇足すぎて一巻で終わってたらよかった」なストーリー展開でしたし…
というか、数時間前まで本気で告白しようとまで思ってた相手をスパッと振って十歳の義妹を選ぶって
ラブコメもののストーリーとして考えると、かなり最悪なオチなんですが。二巻のフラグ建築は何だったのかと。
ただでさえ好感度の低かった主人公の株も大暴落ですよ。告白されて意識したからって心変わり早すぎ。
二巻時点ではリディの逆転勝利を望んでいた私ですら、手放しでは喜べない最終巻でしたね、本当に。
一巻の出来だけ見れば、兄妹物語として普通に良かったんですけどねぇ。