桃音しおんのラノベ日記 あさのハジメ(講談社ラノベ文庫)
現役ライトノベル作家である平凡高校生と天才小学生作家が織り成す、青春ラブコメディ。
メインヒロインが小学五年生ということで、実にロリ可愛さをアピールした作品になっています。
一応ラノベ作家の活動を通じての業界話もメイン要素として扱われており
ラノベを作る話なラノベ、というメタな描写は結構面白く、そして興味深かったですね。
ラストは、秋月ナツメを選んだがゆえに主人公と芹沢汐音の恋は打ち切られ
けれど僕たちの物語は終わらずにこれからも続いていくよエンド。
主人公は高校生の現役ライトノベル作家(ただしデビュー作は三巻打ち切り)
容姿をはじめとして、特に秀でた能力はない平凡な高校生。
基本的に常識人であり、ツッコミ気質で浮き沈みが激しい性格。
と同時に、負けず嫌い&勢いに任せるところがあるなど、体育会系な熱い部分も。
親の意向で水泳に打ち込んでいた時期があり、そのため体力はそれなりにある。
ヒロインは小学五年生の天才ラノベ作家、ラノベ作家志望の同級生。
一番のお気に入りはライトノベル作家志望のツーテール娘、秋月ナツメ。
主人公が所属している文芸部の部長であり、日々デビュー目指して執筆に勤しんでいる。
サッパリした性格で、男女問わずに友達が多く、子供にも好かれやすい性質。
更に明朗快活で容姿端麗、しかも努力家であり、絵に描いたようなムードメーカー。
しかし、その作風は意外にもかなり乙女チックな甘いラブコメものだったりする。
なお、極度のロリコン嫌いであり、ロリコンに対しては暴走することもしばしば。
評価はC。
分類的には特殊系お仕事物語ではあるものの、本筋は恥ずかしいくらいに青春時代な作品でした。
ただ、それゆえに肝心の三角関係ラブコメ部分までもがかなり真面目な形で描かれていて
一つの物語としては実に綺麗な終幕を迎えはしたものの、どこかスッキリとしないものも残ってしまった印象。
主人公にしても、体育会系の割には作中(特に最終巻)ではうだうだと悩んだり落ち込んだりしている姿ばかりで
イライラがたまりっぱなしでしたし。それに、彼自身の作家活動も、芽が出ないままの終了と微妙なオチなのが…
青春物語として考えれば、ほろ苦さは必要な要素だったのでしょうが、ラブコメラノベとしての色が強かった以上は
やはりご都合主義に溢れた、スッキリとしたハッピーエンドを迎えてほしかったというのが正直な感想ですね。
せめて「そして数年後」なエピローグがあれば読後感もまた違ったものになっていたと思うのですが。