さて、異世界を攻略しようか。 おかざき登(MF文庫J)
異世界へと飛ばされた少年少女が元の世界に帰るためにクエストに挑むファンタジックコメディ。
モンスターや魔法が存在する、環境的には結構危険な異世界が舞台ではあるものの
日常系寄りの作風であるため、終盤に入るまではシリアス要素は基本的に薄めでノリも軽いです。
ゲーム風な世界観とゲーム脳な主人公の相性は抜群なため、進行がサクサクなのも読みやすくて良し。
難題を颯爽とクリアしていく主人公は、当然ヒロインたちから好かれるのでラブコメ展開もお手軽ですしね。
ラストは異世界関連の色々な問題は解決したけれども、俺達の異世界攻略はまだまだ続くエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの杏奈が優勢ながらも決着つかずで終了。
主人公は突如異世界に飛ばされ、救世主として頑張ることになってしまった高校生の少年。
極度の不運持ちであり、本人の不注意さや学習能力のなさも相まって、酷い目にあうことが多い。
また、運動が苦手で勉学も並、異性に慣れていない上奥手でRPGゲーム好き典型的なインドア型。
性格的には臆病とも取れる慎重派であり、そのくせ感情に流されやすいところもあったりするが
基本的に善人であり、仲間を大切にするタイプ。
ヒロインは猫かぶり優等生、舌足らず怪力戦士、大食漢魔法使い、暴走お嬢様戦士、気弱なドラゴン武闘家。
一番のお気に入りは手加減のできない強力魔法使い、ティーナ・ディアボラ。
無口で無表情、口を開いても抑揚がなく、一見するとなにを考えているか分かりにくいタイプの女の子だが
異性に対するアプローチの大胆さや、功績を立てることへの執着心など、内面はかなり情熱的。
細身の身体に反して大食いキャラであり、何かを食べていることが多い。
評価はB。
異世界もののお約束ともいえる日本の食文化を持ち込むネタを筆頭に、世界観やクエスト関係のシステムと
日本人的発想の融合展開は面白かったのですが、帰還したい切実な理由があるにも関わらず悠長に
ゆるゆる冒険生活をおくっているという、設定と実際の対応のチグハグさに少々引っかかりを覚えました。
異世界生活描写やラブコメパートは良い感じなだけに、変にシリアスな設定は入れてほしくはなかった…
本筋は諸悪の根源を倒し世界は救われ、そして異世界は元の世界と国交を結び、仲間達との別離はキャンセル。
と、多少のご都合主義こそあれど、これ以上ない大団円で終わり、読後感は文句なし。
あとがきによれば第二部開始の可能性もあるらしいですが、個人的には是非実現してもらいたいところ。