ダイス・マカブル　　　　草木野鎖（ＭＦ文庫J）



神の呪いを身に宿した少年の、学園ダイスアクションストーリー。
主人公の「確率を裏切る呪い」が斬新というか、面白い設定ですね。
色々条件や謎も多いですが、用途が広そうな能力ですし。
同時に、活かし方が難しくもあり、本作ではどちらかというと活かしきることができていない印象ですが。
ラストは事件の黒幕を撤退させ、ひとまずの平和が訪れるも、解呪のための活動はまだまだ続くよエンド。
ラブコメ的には、主人公の心情に少しの変化が発生するも、恋愛的な進展は一切なく終了。

主人公はその身に宿した神の呪いを打ち消すために人助けに奔走することになった少年。
「確率を裏切る呪い」を生まれた時からその身に宿しており
呪いの効果に他人を巻き込まないように自分から孤立している。
偏屈でぶっきらぼう、容赦のない物言いに冷めた態度と、対人コミュ能力はかなり低いのだが
女の子からは行動を好意的に解釈され、好かれることが多い。
呪いの特性のせいか、頭が回るタイプだが、色恋関係には鈍感。

ヒロインはお笑い系Ｍ要素あり転校生、貧乳ブラコン義妹、キツめな美人同級生、自分に素直な後輩。
一番のお気に入りは兄である主人公に男女の意味的なブラコンな義妹、花坂蓮華。
基本的には無表情ではあるものの、丁寧口調で素直な性格なため、男子からの人気も高い。
が、主人公のことに関しては頑固で嫉妬深くなるところがあり、割と肉食系気味に積極的。
なお、自身の努力しても大きくならない貧乳を気にしており、巨乳を敵視している模様。

評価はＣ。
主人公の能力設定は面白いですし、ヒロインたちも適度にキャラが立っていてグッド。
ただ、ストーリー展開がそれらの良素材を活かしきれておらず、あらすじで感じた期待値に届かない感じでした。
演出もハッタリは効いていたものの、土台が不安定な状態での進行で効果的にはなっていなかったというか。
多分、長く続けてそこではじめて面白くなるタイプの作品だったと思うのですが、残念ながら打ち切りということで
最後の纏め方もかなり駆け足かつ強引になってしまっていたのが残念なところ。
シナリオ重視での進行ゆえに、ヒロインたちも面倒くささのほうが前に出ていた感がありましたし。
主人公の心情変化描写はいい感じでしたが、物語的にはあくまでスタートラインに立っただけの話でしたしね。