猫耳天使と恋するリンゴ    花間燈(MF文庫J)



どんな願いも叶える『天界の林檎』を巡る少年少女のラブコメディ。
語り手である主人公がマイペースな性格なせいか、やってることや起きてることは
結構とんでもないはずなのに、淡々と話が進んでいるように見える不思議。
先が気になるハラハラ感こそ薄いものの、甘ったるい雰囲気とほのぼの感は全開の作品です。
ラストは白木雪姫と結ばれて、けれど林檎を探す日々は続いていくよエンド。

主人公は『天界の林檎』を食べたことから悪魔に狙われる羽目になってしまった少年。
大らかかつマイペースな性格で、細かいことを気にせず、思ったことをそのまま口にするタイプ。
幼馴染の女の子の恥ずかしがる顔を見るのが好きだったりと、何気にSの気がある。
また、野外で女の子に全裸になることを要求するなど、剛の精神も兼ね備えていたり。
性癖はニーソ推し。

ヒロインは無表情猫耳天使、引っ込み思案な幼馴染、歌上手な後輩。
一番のお気に入りは健気にもほどがある幼馴染、白木雪姫。
口下手で口数が少なく、恥ずかしがりやで、態度も控えめで大人しい。
自己主張も少なく、絵に描いたような静かな女の子だが、芯は強く、とても健気。
どれくらい健気かというと、大好きな主人公の頼みであれば野外露出をOKするレベル。

評価はC。
ほとんどの部分が主要登場人物のみでの進行だったため、世界観の狭さが印象に残りました。
まあ、作品のスタイル的には、それが独特の雰囲気を出していたので問題ではなかったのですが。
ラブコメ面は、ヒロイン側の恋してる感が上手く描写されていて、切なさと萌えはバッチリ。
ただ、本筋に関しては、ぶっちゃけ二巻は蛇足でしかなかったかと。打ち切りだったので尚更。
単体のエピソードとしては悪くなかったですが、全体として見ると、一巻だけで綺麗にまとまっていましたし
本来なら終わってるはずの話を、無理やり続けた感が強かったかな、と。
何より、既にメインヒロインは雪姫で確定していたので、二巻(とその後に出てきたであろう)のヒロインは
報われないことが確定している状態での恋物語ということで、読中は色々複雑な気持ちでしたし。
この作品の、独特のふんわかとした空気は好きだったんですけどねぇ。