ひきこもりパンデモニウム    壱日千次(MF文庫J)



退魔師兄妹と悪魔王の奇妙な同居生活物語。
分類的には一つ屋根の下で同居なハートフルホームコメディ系ラブコメといったところでしょうか。
いきなり魔王や四天王、最強退魔師など主要キャラに頂上戦力を揃えてはいるものの
バトル要素はほとんどなく、むしろそれらがギャグに利用されているのが良い感じですね。
それに、コメディ一辺倒なだけではなく、ほんのりシリアスに良い話もありますし。
ラストは最強の妹が諸悪の根源を打ち倒し、平和に向けて一歩踏み出した大団円エンド。
ラブコメ的には三人のヒロインを嫁にすることを確約してのハーレムエンドと大満足。

主人公は退魔の名門に養子として引き取られた高校二年生の少年。
退魔師としての才能は高いものではないが、幼少期からのたゆまぬ努力により、戦闘力は高い。
普段は妹思いで修行熱心、アルバイトで家計を支え、家の使命にも忠実。
と、年齢の割に実にできた人物なのだが、実は重度のシスコン(性的な意味を含む)で
しかも脚&黒ストフェチでもあったりと、割と引いてしまうレベルの変態だったりする。

ヒロインは史上最強退魔師な義妹、悪魔王な義姉、一途な巨乳幼馴染。
一番のお気に入りは魔王すら余裕で倒せる史上最強退魔師な義妹、日高見久遠。
チートレベルの実力を持つ退魔師なのだが、周囲の無理解が原因で不登校の引きこもりに。
かなりの人見知りかつ豆腐メンタルの持ち主であり、家族以外の初見の人間には怯えてしまう。
容姿は正に大和撫子といった感じの黒髪美少女であり、スタイルもかなり良く
物腰も穏やかで口調も丁寧なのだが、重度のブラコンで、平気できわどい発言をするところがあったりと
残念美少女な部分が大きい。しかし根は純情だったり家事はできたりと乙女度は結構高かったりも。

評価はB。
軽妙かつ愉快なキャラ同士の掛け合いが素晴らしい。
ボケとツッコミがめぐるましくテンポよく入れ替わるのでひたすら楽しめますし。
特に主役の主人公兄妹が共に手遅れ気味な変態なので、実に面白おかしい会話が成立しています。
本筋は最後の方こそシリアスっぽい展開になりましたが、締めはきちんと軽いノリに戻っていたのが好印象。
二巻完結ということで、まだ話を広げる余地はあったように思えますが……
まあ、それでも無理矢理感なく綺麗に終わっていましたし、次回作にも期待。