勇者と魔王のバトルはリビングで   緋月薙(HJ文庫)



勇者の子孫の少年と魔王の娘の日常系イチャラブファンタジー。
他のヒロインの入る余地などまるでない、完全にオンリーヒロイン制の純愛ラブコメですね。
読んでいて顔のニヤケが止まらない甘酸っぱい恋模様が素晴らしいです。
主人公もヒロインのリアも、変に意地を張るタイプではないので無駄なすれ違いや引き伸ばしもないですし。
ハーレム展開の可能性がゼロなのは残念ですが、このカップルなら、と納得して楽しめます。
ラストは勇者と魔王のバカップル人生はどこまでも続くよエンド。

主人公は突如魔王の娘と同居することになった勇者の子孫。
生活環境周辺に強烈なボケが多いため、ツッコミ役として存在を確立している。
また、口先が上手く、他人を丸め込むのが上手い。
真面目な性格をしており、成績運動共に上々で、異性からのウケも良いが、リアが現れるまで彼女はいなかった。
元中二病であり、現在でも微妙にその名残があったりする。

ヒロインは主人公の許婚な魔王の娘、リアーナ・イルム・ルアリア。
常に落ち着いていて無表情。言動もお姫様らしく硬い感じで一見すると冷たい印象を受ける。
しかし、その外面は非常に上手く取り繕っているだけで、内心は夢見がちで純情一途で耳年増なため
動じていないように見えて、年相応以上に動揺していることが多い。
胸が小さめなことを気にしており、バストアップ体操に励んでいるが、実は遺伝的に絶望しかない。

評価はC。
主人公もリアも、不快感を抱くような部分がないのがよかったですね。
おかげで、どれだけ甘々描写があっても気になりませんでしたし、最後まで初々しさを残していたのもグッド。
脇を固めるサブキャラやモブキャラも中々愉快で文章のテンポも良い感じでした。
ただ、肝心の最終巻の内容が、サブカプの恋物語(女装男子と男前な幼馴染という誰得カップル)というのは
打ち切りだから本筋の伏線を回収しきれない、ということを加味してもガッカリ感が凄かったですが。
二巻までの本題だった異世界絡みのゴタゴタ要素は完全にスルー。というか裏でこっそり解決してますし。
まあ、この作品はあくまでバカップルの物語なんだと割り切ればある意味正しかったのかもしれませんが…
バカップル描写そのものは文句のつけようがないほどニヤニヤできましたしね。