精霊使いの剣舞   志瑞祐(MF文庫)



剣と精霊と美少女の乱舞するファンタジックバトルラブコメストーリー。
わかりやすいファンタジーな世界観に王道を行く展開など、正にライトノベルの見本のような作品で
土壇場の覚醒やチームワークの勝利など、少年誌的な盛り上がりを見せる場面が多いです。
年頃の女の子だらけの学園に男一人という設定も、お約束ながら華やかさ&ハーレム感抜群ですし。
その代わり、主人公は本人の知らない間に「夜の魔王」という悪名で警戒されるようになったようですがw
ラストは世界の再誕を目論むラスボスを撃破し、そして少年は自分の居場所を見つけたのだったエンド。
ラブコメ的には明確な決着はつかなかったものの、ハーレム王国の建国がほのめかされて終了。

主人公は歴史上二人目となる男の精霊使い。
その正体は暗殺者としての過去を持ち、三年前には最強の精霊使いの称号を得た少年。
女装が似合う顔つき身体つきをしており、実際過去にしていた女装は全くバレていなかった。
暗殺者として育てられた経緯から、学術的なことに疎く、女性への耐性がない。
性格的には、本当にお前暗殺者だったの?と言いたくなるほど普通の思春期の少年っぽさが強く
女慣れしていない割に気が利き、無意識に相手を口説くことも多かったりする。あと、何気にSな一面も。

ヒロインはツンデレ問題児、世話好きお嬢様、堅物騎士娘、ニーソ剣精霊、最愛の闇精霊、フランクな王女様。
脳筋系竜公女。あと、オッドアイの無表情メイドや災禍の精霊姫などヒロイン候補は他にも多数いる模様。
一番のお気に入りは、主人公の新たな相棒にして魔王を倒したとされる剣精霊、エスト。
普段は銀髪の美少女として具現化しているが、精霊であるがゆえに羞恥心がなく、よく裸を主人公に見せている。
しかし、何故か素足を見せるのだけは恥ずかしいらしく、ニーソは脱がない。つまり裸ニーソである。
基本的に無口かつクールな性格だが、主人公には甘えん坊になることが多く、特に頭を撫でられるのが好き。

評価はB。
序盤、日常&ラブコメパートでヒロインたちが主人公をボコってオチをつける流れが多かったのが難点でしたが
好意が大きくなるにつれて初々しいラブコメ描写が多くなり、素直にニヤニヤできるようになったのは好印象。
主人公も情けない姿を晒す頻度が減り、格好いい活躍を見せることが多くなりましたし。
そういう意味では、この作品は主要キャラの成長がそのまま面白さに直結していると言えるのではないかと。
本筋は伏線や各キャラの因縁を綺麗に消化し、最後まで王道の英雄物語が貫かれていたことに大満足。
ラストバトルにおける決着までの流れも文句なしの王道で盛り上がりもバッチリでしたし。
あとはアフターストーリーという形で各キャラのその後を描いた短編集を読みたいところですが…