黒き英雄の一撃無双   望公太(HJ文庫)



世界最強に成り果ててしまった少年の、痛快学園バトルストーリー。
とにかくこれでもかとばかりに突き抜けている主人公の最強っぷりが爽快な作品です。
力を封印した状態で最強クラスを一撃、地球割りも可能と、もはやギャグ一歩手前レベルの実力という。
他の作品だと、最強といっても結構苦戦したり、同格の実力者がたくさんいたりするものですが…
ここの主人公は融通の利かない点こそあれど、単純な戦闘力なら最強であることは間違いないので安心。
ラストは、敗北した少年は本物の最強になるために、新たな物語へと歩き始めるのだったエンド。
ラブコメ的には主人公とメインヒロインの雪羽が両想いのように描写はされているも、進展なしで終了。

主人公はある日世界最強に成り果ててしまった少年。
常に飄々とマイペースな性格で、ふらふらへらへらして生きたいと公言している。
そのため、桁外れの実力を持っていながらも正義感や功名心は皆無。
また、かなりの女好きであり、同時に女性を殴らない頑固なフェミニストでもある。
が、女慣れしているような態度をとりながらも、イザ相手が誘いに乗るとビビッてしまうという初心なところも。
唯一の弱点は女性の素手による直接攻撃(ただし六巻で解消された)

ヒロインは生真面目な学園最強、ブラコンなロリ妹、無表情な改造人間、自由奔放な魔女。
一番のお気に入りはテロリストによって改造人間にされた少女、辻社。
常に無表情かつ周囲に無関心で、言動も冷徹で淡々としている。
が、感情の動きがないわけではなく、女の子としての恥じらいも一応持っている模様。
意外にも抜けたところのある天然キャラであり、思い込んだら一直線な性格をしていたりする。
強制的に成長させられた改造人間であるため、実年齢は五歳。

評価はC。
主人公が他を歯牙にもかけないレベルの最強だということが、メリットにもデメリットにもなっていた印象。
バトルがサクサク進むため、フラストレーションを溜めないですみますし、決着の爽快感は抜群だったのですが…
主人公が出張った時点で終了なので、毎回話の都合で出番を引っ張っているだけに見える上
彼以外が絶体絶命の場面でも緊張&絶望感を感じにくいのが問題点にしてデメリットでしたね。
本筋はもう、見事な「世界最強の主人公が負けるまでの物語」だった、の一言。
ラストバトルの師弟対決での決着&敗北シーンの映え具合といい、ただのメタラノベを超越していたかと。
まあ、それゆえに色々はしょられてしまった部分があった感も否めないので、そこは残念ではありましたが。