姉ちゃんは中二病   藤孝剛志(HJ文庫)



ある日突然、見た相手が何者か見抜く魔眼を手に入れてしまった少年の新感覚最強学園バトルストーリー。
おおまかには、メタフィクションコメディと異種族&異能バトルがメインになっている作品ですね。
フィクションなリアル。というある意味矛盾の中で生きる主人公の姿が格好良く、痛快で面白いです。
また、この作品はラブコメ面でもメタ的というか、一風変わったシステム(?)がとられており
主人公の魔眼に「ヒロイン」と表示された女の子がヒロイン候補という扱いになっている模様。
まあ、肝心の主人公が恋愛に意欲を示さないので進展は七巻に至ってもほぼ皆無なのですが…

主人公はある日事件に巻き込まれて魔眼に目覚めてしまった高校一年生。
あけすけで裏表がなく、困っている人を見過ごせないが、同時に割り切った考え方もできる性格。
なので、必要とあれば相手が女性であっても平然と暴力を行使することも。
また、厄介事や面倒事を避けたがる割に、負けず嫌いで挑まれた勝負からは逃げないタイプだったりする。
変わり者な姉と妹がいるせいか、女性に対する照れがなく、同時にデリカシーもない。
姉から中二病発想な英才教育を受けており、その身体能力はかなり人間離れしている。あと、ピアノが趣味。
姉を変人扱いしている割には絶対の信頼を寄せていたりと、自身も自覚のない相当の変人。

ヒロインは吸血鬼なクラスメイト、殺人鬼少女、異世界マニアな先輩。
あと、サブに中二病な姉、二面性のある妹、お嬢様な獣人などヒロイン昇格候補がチラホラと。
一番のお気に入りは二面性のある中学二年生の妹、坂木依子。
素直かつのんびりした性格で、長い黒髪が似合う中学生離れしたスタイルと美貌の持ち主。
実は極度のブラコンであり、兄に近づく女性には高圧&反抗的な態度を取ることもしばしば。
また、何気に血の気の多い部分もあり、工具の類を護身用に持ち歩いている。

現時点(七巻)においての評価はC。
タイトルからして重要キャラなのは明白ですが、とにかく主人公の姉ちゃんのキャラが秀逸ですね。
ガチシリアスになりかねない空気が、彼女の存在のおかげで毎回一気に能天気なものへと中和されますし。
一見常識人に見えて、実は突き抜けている主人公や、異常者揃いのヒロインたちも個性的で良い感じです。
ただ、作品としての方向性が掴み難いというか、何がやりたいのかわかりにくいのが難点でしょうか。
本筋は魔眼を失いこそしたものの、世界を滅ぼさんとする邪神をアッサリ撃破し、第一部完!
こういう終わり方をした作品の第二部は基本的に期待できないのが常ですが、伏線は大量に残っていますし
是非続きを出してもらいたいところ。特に姉ちゃんの正体とか滅茶苦茶気になるんですけど。