勇者リンの伝説   琴平稜(富士見ファンタジア文庫)



お子様勇者と活字アレルギーな伝記士による、ドタバタハートフルコメディ冒険譚。
魔物や魔法が存在している世界が舞台ではあるものの、殺伐さはほぼ皆無でコミカル度が強く
パロ&メタネタを主軸に、登場人物たちがテンポよくボケツッコミを繰り返すタイプの作品です。
設定は非日常なのに、やってることは軽くて平和な日常というギャップが笑えて楽しいですね。
ラストは決意を新たに、俺たちの冒険はこれからだエンド。
ラブコメ面は、最終巻でリンがメインヒロインの面目を果たしたものの、決着そのものはつかず終了。

主人公は勇者になれなかった伝記士の少年。
幼い頃から勇者に憧れ続け、剣術一筋に生きてきた体力馬鹿で、剣術と体術の成績はぶっちぎりで優秀。
反面、筋金入りの活字嫌いということから、勉学の成績は駄目だったりする。
目つきと寝起きと口が悪く、一見すると尖った感じの近寄りがたい雰囲気を発しているが
実は面倒見がよく、お人よし。また、硬派なふりをして巨乳好きだったり、精神的に打たれ弱いといった一面も。
かなりの朴念仁であり、女心にはかなり疎い。

ヒロインは明朗快活なお子様勇者、ドSな召喚士、男装の優等生勇者。
サブヒロインにイイ性格な伝記士、人懐っこい拳闘士、無口な黒魔術師、真面目な貧乳委員長なども。
一番のお気に入りはオレっ娘な男装少女勇者、クロト・ラインフォール。
勇者課程首席、剣術の成績も主人公に次いで次席の実力者であり、優等生。
真面目な性格ではあるものの、イレギュラーな環境に弱かったり、雰囲気に流されやすかったり
また、主人公の前では生意気で口が悪く、態度がデカかったり、ツンデレであったり
更には料理&芸術センスが壊滅的であったりと、意外に愉快なキャラをしている。
身体の線は細く、小柄ではあるが、胸は結構大きいらしい。

評価はB。
滑ってる時もありますが、ネタの使い方が上手くて、読んでいて常に口元が緩みまくりでした。
どんな時も楽しそうで明るい雰囲気が崩れず、軽快に話が進んでいくので読みやすさもバッチリでしたし。
ただ、毎巻後半のシリアス混じりのいい話パートとのギャップが少々強かった印象も。
ギャグとシリアスのどちらでもキャラの芯にはブレがなかったので、話としては調和していたんですけどね。
本筋に関しては、最後が打ち切りっぽくはあったものの、最終巻に相応しいネタと展開でしたし
締め方そのものもこの作品らしかったということで、不満はそれほどではなかったかな、と。
まあ、キャラの掘り下げ話など、話を広げる余地はまだまだあったので終わってしまったこと自体は残念でしたが。