銀閃の戦乙女と封門の姫 瀬尾つかさ(一迅社文庫)
異世界でモンスターと戦い、世界を救うファンタジーバトルストーリー。
やや科学的要素も取り入れられていますが、基本的に剣と魔法と世界が舞台の王道ファンタジーものです。
ただ、この異世界は既に一度大きな戦いを経ており、主人公もそれに参加している。
という異世界召喚系でありながらも「強くてニューゲーム」な話にもなっていたり。
なので世界観だけ見ればかなりシビアなんですが、割と安心感がある状態で読むことができます。
ラストは世界を滅ぼさんとする敵を総力戦の末撃破してハッピーエンド。
ラブコメ的には、将来的なハーレムエンド確定と文句なし。
主人公は異世界で戦い続けてきたという過去を持つ少年。
幼少期から異世界で軍人として過ごしており、殺し殺されの経験あり。サバイバル技術にも長けている。
そのため、荒事には耐性があり、常に飄々とした態度を崩さない。
また、大のおっぱい好きであり、その想いを素直に口に出すために女子からは敬遠されていたり。
しかしその実、いざ据え膳を目の前にすると尻込んでしまったり、優柔不断であったり
地球人ゆえの倫理観で異世界の常識に反発したりと、意外にメンタルはもろかったりする。
ヒロインは銀髪の機士団長、赤髪の脳筋姫、黒髪クール義妹、金髪の聡明姫。
一番のお気に入りはクールで巨乳な義妹、花梨梨花。
異世界で過ごしていたため、一年ほどしか交流のない主人公を慮り、常に彼の意思を尊重するよくできた妹。
常にクールな態度を崩さず、思考も聡明であり状況適応力も高い。
その一方で恋愛事にはあまり耐性がなく、兄との関係をからかわれると動揺してしまったりヤキモチ焼きだったり。
また、お金の話になると途端にダメな子になるという弱点がある。
評価はB。
主要登場人物たちが物語開始時点で既に顔見知りで、しかもかなり親しい状態。
というファンタジーでは珍しい設定なおかげでサクサク話が進むのが良かったですね。
おかげで、結構血生臭い世界観なのにも関わらず、和気藹々としてる描写も多かったですし。
また、ヒロインにしてもう一人の主人公である梨花が、上手く主人公の足りないところを補い
全体的なクオリティを高めていたのも特筆すべき点でしょうか。
ただ、彼女の存在感や功績が強すぎて、最終的には若干主人公ポジを食ってしまった感が……
後は、世界の危機で時間的余裕がなかったがために、日常パートが少なめになってしまったのも残念なところ。
過去作品の世界観とリンクした、クロスオーバー大戦な最終決戦の盛り上がりは素晴らしかったんですけどね。
同時に、そこ削って日常パート(という名のラブイチャパート)をもっと増やして欲しかったなぁとも。
アフターストーリーとか出してくれないかなぁ。