終末領域のネメシス   吉野匠(このライトノベルがすごい!文庫)



未確認ウィルス生命体と戦う戦士を育成する学園での、サスペンス異能力アクション。
一見すると普通の学園異能バトルものに見えますが、世界観がかなり詰んでます。
正直絶望しか見えないというか、明らかに人類滅亡のカウントダウン始まってるよね感が凄い。
おかげで日常パートが素直に楽しめないというか、常に「ああこれ最後の晩餐なんだね」
みたいな深刻さを感じてしまい、シリアス感覚が抜けないのが困るところ。
まあ実際、日常パートに出てきたネームドキャラがバカスカ死んじゃいますからね、この作品。
なので女子比率の高い学園が舞台なのに、全然華やかさを感じないという。

主人公は真実を知ったがために、戦いに身を投じる羽目になった記憶喪失の少年。
結構図太いと言うか、何事にもあまり動じないタイプの人間であり、常にふてぶてしい。
女の子に対しても、サラッと下ネタを口にしたりと、飾らない言動が多かったりする。
が、決して冷たい性格と言うわけではなく、正義感から動くこともしばしば。
要は年齢の割に世の中の酸いも甘いも噛み分けたような「イイ性格」をしている。

ヒロインはクールビューティーな幼馴染、妹分な幼女、青髪の記憶喪失少女。
あと、ブラコンだと思われる義妹が参入してきそうな気配あり。
一番のお気に入りはブラックスローターの異名を持つクールビューティー、雪夜玲奈。
常に怜悧な空気を纏っており、徹底した人嫌いで無口。
口を開いても、言葉少なで必要なことしか喋らないため、周囲の人間には敬遠されている。
しかしその美貌は本物であり、男からの人気は高い(ただし言い寄った男の末路は悲惨)
実は意外にも嫉妬深かったり、冗談が通じないところがあったりとギャップ萌えな部分あり。

現時点(二巻)においての評価はC。
物量も質も人類側が圧倒的不利な状態からのスタートということで絶望感が酷い。
現時点では、どう考えても人類絶滅エンドしかなさそうなんですよね。
救いなのは、主人公の単体戦力と精神力が高いことくらいでしょうか。
まあ、所詮は個人レベルのことでしかないので、焼け石に水にしか見えないのが困ったところですが。
色々まだまだ謎だらけということで、それが明かされるであろう続巻に期待。